スタートアップと連携、まず東風系の2000台採用
SBSホールディングス(HD)は10月13日、中国製のEV(電気自動車)トラックを宅配業務に導入すると発表した。ラストワンマイル領域の脱炭素化を図る。
ファブレス(外部への製造委託)でEV開発を手掛けるスタートアップ企業フォロフライ(京都市)と連携。中国の自動車大手、東風汽車集団のグループ会社、東風小康汽車がフォロフライ設計の1トンEVトラックを製造、輸入する。航続距離は300キロメートルを見込んでおり、普通免許で運転できるEVとしては積載量が最大という。導入は1台当たり約380万円で、ガソリン車と同水準に抑えられている。
SBSHDはまず今後5年程度で、グループが保有するeコマース向け宅配車両約2000台を順次、今回発表したEVに置き換える計画。中期的には協力会社の車両も含めてトータルで1万台程度のEVを導入する方針で、東風小康汽車以外の中国メーカーの車両も調達する計画。
併せて、SBSHDはフォロフライに出資、新たなEVの開発を後押しする。
導入するEV(以下、いずれもSBSHDプレスリリースより引用)
物流業界では既に佐川急便が、台湾塑膠工業(台湾プラスチック)系のEVファブレスメーカーASF(東京都千代田区神田須田町)と共同で宅配用に軽自動車サイズの独自EV開発を推進。中国の大手自動車メーカー、広西汽車集団がOEM(相手先ブランドによる生産)で量産、佐川の各事業所へ順次供給する予定を公表している。2030年度までに佐川の宅配用軽自動車を全て今回開発しているEVに切り替える方針だ。
日本政府が50年までに温室効果ガスの国内排出量を実質的にゼロとする「カーボンニュートラル」の達成を目指す方針を表明。物流業界でも対応を迫られており、EVなど電動車両の活用にシフトし始めている。
ただ、日本の自動車メーカーはトラックやバスなど商用車の電動化への取り組みが中国メーカーに比べて遅れており、佐川やSBSHDも中国メーカーの活用に踏み切った。物流業界の車両電動化の流れは今後さらに加速するとみられるだけに、日本の自動車メーカーも巻き返しに向け対応強化を一層迫られそうだ。
SBSHD・鎌田正彦社長(右)とフォロフライ・小間裕康代表取締役
(藤原秀行)