大規模マルチ型物流施設の空室率、首都圏の7~9月は3四半期連続上昇し2年ぶり2%台に到達

大規模マルチ型物流施設の空室率、首都圏の7~9月は3四半期連続上昇し2年ぶり2%台に到達

CBRE調査、新規需要は13万坪と旺盛

シービーアールイー(CBRE)は10月29日、今年7~9月期の大規模マルチテナント型物流施設の賃貸市場動向に関する調査結果を公表した。

首都圏は平均空室率が前期(4~6月)から1・1ポイント上がって2・6%で、3四半期続けて前期から上昇。2019年7~9月(2・4%)以来、2年ぶりに2%台へ到達した。

CBREによると、7~9月期に竣工した物件は5棟・約18万坪で、四半期ベースとしては04年の調査開始以来、4番目に多かった。5棟のうち3棟が延べ床面積3万坪以上と大型で、いずれも竣工時に空室が残っていたことが空室率を押し上げた。

ただ、この3棟も4~8割程度のスペースで入居企業が決定・内定しており、新規需要は約13万坪と旺盛だった。

CBREは「今後は大量の新規供給を控えて、物件の選別携行が一層進むと考えられる」と展望した。


首都圏の需給バランス推移(CBRE資料より引用)

主要4エリア別の空室率を見ると、東京ベイエリアは0・7ポイント下がって0・2%、外環道エリアは前期から横ばいの1・3%、国道16号エリアは1・4ポイントアップし3・2%、圏央道エリアも1・4ポイント上昇し2・1%だった。

1坪当たりの実質賃料は首都圏全体で4470円となり、前期から横ばいだった。CBREは新規供給物件のうち3棟が、賃料水準が比較的低い圏央道エリアで完成したことが影響したとみている。

4エリア別では外環道エリアが0・4%、国道16号エリアが0・2%上がった。CBREは「賃料の動きにも格差が現れ始めており、上昇傾向が持続している地域もあれば天井感がある地域も見られる」と分析している。

大量供給が続いているのを受け、利用者の間で立地や機能などをより慎重に検討する傾向が出てきているようだ。

調査対象は首都圏1都3県を中心とする地域で延べ床面積が1万坪以上の200棟。

(藤原秀行)

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