日本郵便など、東京・奥多摩で実施
※昨日配信の記事を差し替えました
日本郵便は12月20日、東京都奥多摩町で、国内で初めてドローンと宅配ロボットを組み合わせ、郵便物を住民の住居前まで自動で配達する実証実験をメディアに公開した。
実験は日本郵便と資本・業務提携しているACSL、宅配ロボットを手掛けるZMPの両社が参加。奥多摩町も協力した。
まず奥多摩郵便局から廃校となった旧小河内小学校(現奥多摩フィールド)の敷地内まで郵便局の車両で荷物を運んだ後、ACSL製ドローン「PF2」に搭載して2キロメートルほど空輸。山あいの中継ポイントでZMP製の宅配ロボット「DeliRo(デリロ)」に積み替え200メートルほどを走行、町内の住民の自宅前で荷物を自動で置いて完了した。新型コロナウイルス禍を考慮し、荷物は「置き配」で届けた。
実験に投入したドローン
ドローンが荷物を自動的に切り離してロボットに積み替え
積み替えに使った専用の装置
町内をロボットが移動
ドローンは最大で1・7キログラムの荷物を搭載することが可能なタイプ。風速が秒速10メートル、降雨は1時間当たり10ミリメートルまで耐えられる設計。日本郵便の要望を受け、非常時に備えてパラシュートを搭載している。実験ではドローンにカメラを取り付け、地上の道路を横断する際、人が通っていないかを遠隔で担当スタッフが映像で確認した。
DeliRoは最大積載量が30キログラム、最高速度は時速6キロメートルで走行。ドローンと同じく、カメラからの周辺映像を遠隔で常時監視した。
実験に参加し、住居前に荷物が届けられた女性は「田舎にいながらにして時代の最先端を感じている。茶色い風景の中に(DeliRoという)赤い子が来てくれて、とても歓迎している」と笑顔で語った。
日本郵便は物流・郵便領域の人手不足が続く中、山間部など人口が少ないエリアでも安定的に郵便物などを届けられるようにするため、ドローンと宅配ロボットのそれぞれを使った業務効率化・自動化の実験を続けている。今回は両方を組み合わせ、人手をかけない配送の実現に向け、安全性などを確認した。ドローン単体では運べない場所でもロボットを取り入れることで、配達できる範囲を広げるのが狙い。
同社は今後もACSLなどと連携し、ドローンと宅配ロボットによる配達自動化を早期に実用化したい考え。
(藤原秀行)