ASEAN市場の事業基盤強化に向け現地主導で最適な製品を供給
日野自動車は2月1日、タイに新たな製品開発・生産拠点を建設すると発表した。現地生産子会社である日野モータース マニュファクチャリング タイランド(サムットプラカーン県サムロン、タイ日野製造)の製品企画・開発・生産機能を集約・強化し、ASEAN市場で最適な製品を現地で一貫供給できる体制を整備する。
総投資額は約115億円で2021年の操業開始を予定。また同日付でタイ日野製造の社長に同社生え抜きのタイ人幹部を登用するなど、現地主導による事業推進を通じてASEAN市場における基盤強化を目指す考え。
新拠点は「スワンナプームものづくりセンター」と名付けられ同県バーンボーに建設される。敷地面積は約40万平方メートルで工場のほかテストコースなどから構成される開発エリアを備え、ASEAN市場でニーズが高い中・小型のトラックとバスを企画・開発・生産する。目標生産台数は明らかにしていないが稼働開始時点の従業員数は約1300人を見込む。
併せて現地の既存工場に分散している生産機能を集約して効率を高めるとともに、日野のグローバル中核工場である古河工場(茨城県古河市)にて培ったノウハウも積極的に導入。ASEAN市場のニーズを反映した競争力ある製品をタイムリーに届けることで、距離的・物理的のみならずユーザーの要望にきめ細かく対応する“近い”存在・関係を構築していく意向。稼働当初はタイ国内向けに生産を行うが、24年ごろには他の新興国への製品供給を開始する見通しだ。
新たな生産体制を踏まえ販売面ではトータルサポートの強化に向けた取り組みを開始する。現地販売子会社の日野モータース セールス タイランド(バンコク)を通じて運転講習の拡大、サービス品質の向上としてディーラースタッフ教育の充実などを施策に挙げ、現地ユーザーのビジネスをサポートする基盤整備とノウハウの横展開によってASEAN全体でトータルサポート活動の底上げを図る。
(鳥羽俊一)