セイノーHDやエアロネクストなど、個人宅や集会所へお届け
北海道東川町とセイノーホールディングス(HD)、電通北海道、エアロネクスト、NEXT DELIVERYの5者は8月31日、同町内で買い物困難者の問題解決に向け、8月29~30日に同町内で「ドローンを活用した買い物配送」の実証実験を行ったと発表した。
8月23日に東川町、セイノーHD、電通北海道、エアロネクストの4者が締結した東川町オフィシャルパートナー協定に則った取り組みの第1弾。東川町で将来深刻化すると見込まれる買い物困難者問題の解決を目指し、実験はセイノーHDとエアロネクストが開発推進するドローン配送と陸上輸送を融合した新スマート物流「SkyHub(スカイハブ)」の仕組みと技術を活用して実施した。
飛行するエアロネクストの物流専用ドローン「AirTruck(エアトラック)」
東川町の水田上空を飛行するドローン
庭先に届いた商品やドローンと記念撮影に応じる地元の庄内さん夫婦
配送された商品と記念撮影(第2地区コミュニティセンター)
ドローンで運ばれてきたカレーを楽しむ町民 (第1地区コミュニティセンター)
実証実験のドローン配送を終えて記念撮影(西部地区コミュニティセンター)
東川町は総人口が8520人(7月28日現在)で、過疎ではない「“適疎”な暮らし」を推進。1950年の1万754人をピークに年々減少、1994年に7000人を切った人口が2016年は40年振りに8000人台を回復するなど、全国的にも珍しい人口が増え続けている自治体。
ただ、この10年で高齢化率が約5ポイント増加し、現在は32.8%。全国平均の28.1%を上回っている。高齢者によって今後、町として課題となってくる「買い物困難者問題」を解決するため、セイノーHDやエアロネクストなどは町内の流通店舗、道の駅、飲食事業者と連携し、東川町の「適疎な暮らし」をより豊かにする可能性を秘めたSkyHubを生かし、ドローンによる配送サービスの実用化に向けた課題の洗い出しなどを図った。
中心部から少し離れた流通店舗や飲食店のあまり無いエリアに住む人への買物支援を想定し、住民が注文した地元スーパーで取り扱っている地元農家の朝採れ新鮮野菜の詰め合わせセットを、仮設のドローンデポ(いきいき農園管理棟)から西部地区コミュニティセンターの仮設ドローンスタンドまでエアロネクストが開発した物流専用ドローンAirTruckで配送した。往復の飛行距離は約6.9キロメートルで、要した時間は約23分だった。
また、フードデリバリーサービスの無い東川町で、注文した飲食物がドローンにより注文者の元まですぐ届くという新たなフードデリバリーサービスを想定。地元カレー屋さんの人気カレーとチャイを第1地区コミュニティセンターでヨガ教室を受講していた生徒たちに同じくAirTruckで届けた。(片道飛行、距離約11.1キロメートル、約20分)
このほか、町民個宅2カ所、第2地区コミュニティセンター、第3地区コミュニティセンターの合計6カ所の複数ルートに対する同一拠点からのドローン配送を2日間で実施した。日本で初めての頻度という。
町内6カ所にドローンによる買い物配送を実施(東川町内の飛行ルートを、Googleが提供するGoogle Mapを使用し表示した)
ドローン配送された地元農家の朝採れ野菜
ドローン配送された地元飲食店のカレー
(藤原秀行)※写真はいずれもエアロネクスト提供