オンデマンド配送と買い物代行、フードデリバリー展開
福井県敦賀市とセイノーホールディングス(HD)、エアロネクストと子会社のNEXT DELIVERY、KDDI傘下のKDDIスマートドローンは10月11日、同市でドローンを含む次世代高度技術を活用し、配送ネットワーク維持など地域課題の解決に貢献する新スマート物流「SkyHub(スカイハブ)」を開始すると発表した。
5者は敦賀市の愛発地区で「市街地・過疎地連結型」モデルとして、ドローンを使い最短30分で荷物を届けるオンデマンド配送、買い物代行、フードデリバリーの3種類のサービスを展開する。住民ニーズに応じて順次サービスを開始し、対象エリアも拡大する予定。
5者は10月8日、現地で出発式を実施。愛発公民館内に設けた配送拠点兼倉庫のドローンデポを使い、ドローンによるオンデマンド配送の様子を報道関係者に公開した。
敦賀市のドローンを活用した新スマート物流事業は2021年11月に敦賀市とセイノーHD、エアロネクストが包括連携協定を締結。実現に向け取り組んできた。2022年1月と8月の計2回、ドローン配送の実証実験を行った上で、実際の住民向けサービスとして開始することにした。
セイノーHDとエアロネクストが開発推進する、ドローン配送と陸上輸送を融合した新スマート物流「SkyHub」を実際に社会実装するのは山梨県小菅村、北海道上士幌町に続き、全国で3番目の自治体となる。
ドローンデポ前で撮影に応じる(左から)セイノーHD事業推進部ラストワンマイル推進チームの須貝栄一郎新スマート物流推進プロジェクト課長、敦賀市の渕上隆信市長、NEXT DELIVERYの田路圭輔代表取締役、KDDIスマートドローンの博野雅文社長
愛発公民館(旧愛発小中学校)の元給食室を改装した「ドローンデポ愛発」の内部とドローン配送用の箱
スタッフが注文された「朝食セット」の入った箱をドローンにセット(「ドローンデポ愛発」前)
SkyHub Storeサービスでドローン配送された商品の入った箱を置いて「ドローンデポ愛発」に戻るドローン(杉箸ドローンスタンド)
SkyHub Storeサービスのドローン配送を終えて記念撮影(愛発地区杉箸集会所前)
5者は物資や商業施設が集積する市街地が中央に位置し、その周辺に放射状に山間地域が広がり過疎地域が点在する特徴を持つ敦賀市で、「市街地・過疎地連結型ドローン物流」の典型的なモデルとして社会実装をスタートすることは、今後似たような特徴を持つ多くの全国の地域への展開の可能性として大変大きな一歩になると見込む。
ドローン配送はエアロネクストがACSLと共同開発した物流専用ドローンAirTruck(エアトラック)と、KDDIスマートドローンが開発したモバイル通信を用いて機体の遠隔制御・自律飛行を可能とするスマートドローンツールズの運航管理システムを活用している。
【サービス内容】
オンデマンド配送サービス専門コンビニ (SkyHub Store)
SkyHubアプリ、あるいはカタログからの電話注文により、最短30分で注文の食料品や日用品をお届けするオンデマンド配送サービス。ドローン配送拠点であるドローンデポのダークストア化の取り組みでもあり、ドローンデポに食料品、日用品、調味料など、ユーザーへのアンケートによる希望や購買予測により、商品を在庫し、ユーザーの注文に合わせて空から、陸から、最適な手段で配送する。
愛発地区では、ユーザーは約100アイテムの食料品、日用品から商品を選択の上、30分間隔に設定されたスロットの配送枠から配送希望時間枠と配送先のドローンスタンドを選択して注文できる。配送料300円(税込み)。基本はドローン便で届けるが、天候などの事情でドローン便が難しい場合は「おクルマ便」による陸上配送で配達する。
地域の商店と連携した買物代行サービス(SkyHub Delivery)
SkyHubアプリで買物した地域の商店やスーパーなどの商品が、希望日時に個宅に届く買物代行・配達代行サービス。地域の商店のDX化支援の取り組みでもあり、モールEC型で展開するネットスーパーのサービス。
愛発地区では、近隣地域にある地元スーパーの約500アイテムの食料品、日用品から商品を選び、2時間間隔に設定された時間枠から希望時間枠を選択して注文できる。料金は配送料300円(税込み)とサービス料(商品代金合計の10%)。当面は午前10時30分までの注文を当日中に届ける。
フードデリバリーサービス(SkyHub®Eats)
本年8月に実施した敦賀市におけるドローン配送実証実験でも連携した出前館のサービスと連携し、敦賀市内の提携飲食店のフードをドローン便あるいはおクルマ便で届ける。料金は配送料420円(税込み)を想定。
まずはSkyHub®Storeのサービスを、愛発地区の11ある集落のうち疋田・奥野・曽々木・杉箸の4集落のドローンスタンドへ届けるところからスタートし、11月には全集落に拡大する予定。11月には、SkyHub Delivery、SkyHub Eatsも開始する計画。
日本発物流専用ドローン「AirTruck」
(藤原秀行)※写真はいずれもエアロネクストなど提供