警察庁が関連法令改正案公表、実用化加速に期待
警察庁は10月27日、公道を走行するロボット宅配や、特定の条件下で車の運転を完全に自動化する「レベル4」を2023年4月1日に解禁する方針を明らかにした。
今年4月に成立した改正道路交通法が、公道走行のロボット宅配や「レベル4」の自動運転を可能にする新たな制度を設けることを打ち出しているのを受け、警察庁が制度の詳細を規定した関係法令の改正案を公表。同日にパブリックコメント(国民からの意見公募)を開始した。
警察庁は11月26日まで意見を募集した上で、関連法令を正式に決定。改正道交法などを23年4月1日に施行したい考えだ。宅配現場の人手不足をロボットでカバーする自動化の動きが加速することが見込まれる。
今年2月開催の「ロボットデリバリー協会」発足発表記者会見でお目見えした各社の宅配ロボット
関係法令案は、改正道交法で宅配ロボットなどを「遠隔操作型小型車」と区分しているのに伴い、安全性を担保するため、宅配ロボットの最高速度は時速6km以下とし、歩道を通り信号に従うなど歩行者と同様のルールを守るよう明記。
サイズは長さ120cm、幅70cm、高さ120cm(ヘッドサポートを除いた部分)を超えないことや、触れた歩行者がけがをするような鋭利な突出部がないことなども定めている。非常停止装置の基準として、押しボタン式に限定し、取り付けてある場所がすぐに分かるよう周囲の部分と色を変えることなど盛り込んだ。宅配ロボットに取り付ける標識についても規定している。
宅配ロボットを使う事業者は、走行する公道を管轄している都道府県公安委員会へ事前に通行するルートや非常停止装置の位置などを届け出るよう義務付ける。
一方、「レベル4」の自動運転に関しても、宅配ロボットの場合と同じく、バスなどを運行する事業者に、都道府県公安委員会へ事前に運行計画を提出、許可を得るよう義務化。車両に同乗したり遠隔で監視に当たったりする「特定自動運行主任者」の配置も求める。遠隔監視装置が外部からのサイバー攻撃で乗っ取られないよう対策を講じることも示している。
「レベル4」の自動運転については、関係法令案は過疎地の無人輸送サービスなどを対象としており、個人の自家用車については想定していない。
(藤原秀行)