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【快調連載!】選ばれる物流会社のポイントと4つのビジネスモデル・第4回

【快調連載!】選ばれる物流会社のポイントと4つのビジネスモデル・第4回

その3:ドメイン特化モデル

タナベコンサルティング 土井 大輔 ストラテジー&ドメインコンサルティング事業部 本部長代理 兼 物流経営研究会 リーダー

厳しい時代でも生き残っていける「強い物流企業のつくり方」にフォーカスした全6回の連載が好評いただいた、タナベコンサルティング・土井大輔氏。シーズン2の第4回、ますます快調です!

「選ばれる物流企業」になるためのポイントと4つのビジネスモデルという魅惑的なテーマ。今回は「ドメイン特化」のモデルとのこと。具体的なケーススタディーと合わせて、その本質を公開します。お見逃しなく!

※タナベ経営のホールディングス化・社名変更により、著者は10月1日より「タナベコンサルティング」に所属しています

これまでのおさらいはコチラから


土井氏(タナベコンサルティング提供)

事業やサービスの種は現場にある

本連載の第4回はノウハウを活かした高収益ビジネスモデルの1つとして、「ドメイン特化モデル」について事例を交えて紹介します。

ドメイン特化モデル

物流では、荷主の業界・荷種によって異なるノウハウが必要です。例えば、冷凍・冷蔵食品の物流とガラス製品の物流では、荷姿・配送頻度・ロット数・輸送形態・条件が全く違います。高収益を実現している3つ目のビジネスモデルとして今回ご紹介する「ドメイン特化モデル」は、荷主・荷種に特化して一貫物流を提供することでノウハウを発揮しているモデルです。

今回の事例から学ぶポイントは“事業やサービスの種は現場にある”ということです。皆さんの会社でスタッフのAさんがお客様から相談を受けた際、「弊社では対応できません」と言ってしまうとそこで終わりです。今回は、「ドメイン特化」モデルであり、“ガラス張り経営”かつ“人間性を高める経営”を行っているK社の事例をご紹介します。私はK社から、お客様の声や協力会社からの情報が得られる“物流現場”は最強のマーケティングの場であり、情報が挙がる・共有できる仕組みと、ヒトを育てることの重要性を再認識させられました。


ドメイン特化モデルのイメージ(タナベコンサルティング提供)

〈事例K社〉
同社は創業約30年を迎え、5事業9拠点で展開しています。その中の1つの“家具物流”について紹介します。

同事業は海外の家具メーカーから国内輸入家具商社への物流を担っています。家具は部材毎にノックダウンされた状態で輸入され、その部材を組み立てるためのビズ穴開けや組立確認を行い、現地まで届け、現地で組み立てています。同社は、“本来メーカー側の役割”である組み立てるための加工や準備・セットアップを代行しており、対価も収受しています。そして、オフィス系家具は春、アウトドア系家具は夏と戦略的に分散させることで季節変動を小さくしていることがポイントです。

同社が年々収益力を高めている要因は2つあります。1つ目は「“積載率”と“稼働率”の最大化」であり、家具物流においても季節変動の異なる分野を戦略的に攻めています。また、トラック運送では荷主との直接契約を確保し、帰り便に関しては同業者ネットワークを活用して実車率を高めています。

運賃の値上げと荷主への条件見直し(荷主に対して運賃と条件の適正化提案)の説明も丁寧に行っています。例えば、これまで“夜積み・朝着”であったものを、“昼積み”へ条件変更することを納得してもらうことで、積み合わせと組み合わせの効率化、作業環境の改善のほか、車両備品・消耗品の消費も減少させました。さらに、自社だけではなくお客様にとっても無駄を省くメリットにつながることを説明しています。

2つ目の取り組みは「従業員個人を尊重した主体性の醸成」です。同社は毎月1回、パートも含めた全従業員の自由参加型の会議を実施しています。この会議は大きく2部構成になっており、前半は部門別管理会計と車両ごとの月次収益などの業績報告・課題・成功事例の発表で、各部門の方針進捗の確認も行っています。採用人員・固定費のバランス判断や顧客との値決めなどもこの会議で議論します。後半は主体性・自律性を高めるための勉強会を行っています。

同社は“ガラス張り経営”であり、“人間性を高める”ことにフォーカスしています。手段ややり方も大切ですが、常に“目的・意義”を考えることが定着しているので、従業員の自主性が高く、事業においても工夫が生まれるのだと感じます。

同社の社員から「お客様から言われたことを断りません。やったことが無いことは、協力会社や他得意先に聞いてでも解決します」と言われたことが、私の印象に強く残っています。

自社の価値を伝えるための重要な3要素

自社の価値を相手に伝えるためには、3つの重要な要素があります。

1つ目は、「自社や事業の歴史」です。自社は、顧客や市場が求めていることに対応し、自社の持ち味を提供し続けることができているからこそ、今も存在し続けているのです。事業の変遷や成長過程や危機を乗り越えた実績、顧客をサポートしてきた体制などは、自社の姿勢や社風につながるため、事前価値を高める要素として重要です。2020年以降のコロナ・ショックを乗り越えた実績も、ノウハウとして将来に語り継ぐことが重要です。

2つ目は、「トップメッセージ」です。「トップ」とは、経営者だけではなく、事業責任者や部門長・センター長など運営責任を担う立場も含みます。将来的にどのような会社になることを目指しているのか、仕事において何を大切にしているのか、従業員とどのような判断基準を共有しているのか。トップが自社の「目指す姿」「大切にしている使命感」を熱く語ることは必須です。

3つ目は、「従業員の言動」です。立派な物流センターを保有し、最新の設備を導入し、経営陣やセンター長のメッセージが前向きで明るくても、従業員の態度が悪いと全てが台無しになります。逆に、従業員の言動が素晴らしければ、前述した実績・歴史やトップメッセージの価値がさらに上がります。仮に、実績やメッセージが多少弱くても、従業員の言動が良ければカバーできます。やはり、物流は「人財」だと強く思います。

是非、社員の主体性・自律性を高め、自社をブランディングしていきましょう!

(次回に続く)

◇タナベコンサルティングからのメッセージ:「物流経営研究会」とは
タナベコンサルティングでは、日本全国の「ファーストコールカンパニー(顧客から一番に選ばれるサステナブル企業)」の先進事例、成功事例を研究。ゲスト企業による実践型講義・現場視察から成功談・失敗談を踏まえた現場の“リアルなポイント”を学べるよう努めている。同じ志を持つ多種多様な参加企業・参加者との情報交換も可能な場として運営している。
「物流経営研究会」では、“選ばれる物流会社を研究する”ことをテーマに、DHLサプライチェーン、丸和運輸機関、ハマキョウレックス、大塚倉庫、シーアール物流、BeingGroup(ビーインググループ)などの現場を視察し、情報交換会や自社プレゼンを行っている。https://www.tanabekeiei.co.jp/t/lab/logistics.html

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