NX総研が検討会で試算公表、「2024年問題」影響加味は34.1%に拡大
NX総合研究所は11月11日、国土交通と経済産業、農林水産の3省が開催した「持続可能な物流の実現に向けた検討会」で、トラックドライバーの長時間労働規制が強化される「2024年問題」が物流に及ぼす影響に関する試算を公表した。
2030年度までの物流の需要と供給のギャップについて、ドライバーの不足により、30年度の時点で営業用トラックの輸送能力が19.5%(5.4億トン)不足すると推計。さらに、2024年問題の影響と合わせると34.1%(9.4億トン)に拡大するとの見方を示した。
主要な5つのシンクタンクが公表した実質GDP(国内総生産)の推移などのデータを基に算出。2030年度には需要に該当する営業用トラック輸送量が27.6億トンに対し、供給を担うドライバーが最終的に16万2912人不足し、その結果、輸送量の19.5%に相当する5.4億ドンが運べなくなると見積もった。
NX総研はまた、厚生労働省の審議会で決まった改善基準告示の改正内容が物流業界に及ぼす影響の見通しをあらためて公表した。改正に伴い、トラックドライバー拘束時間上限が年間3300時間となると、2019年度の輸送実績と比べた場合に輸送能力が14.2%、営業用トラックの輸送トン数は4.0億トン不足すると計算した。
この試算は1日の最大拘束時間などの見直しについては反映していない。
発荷主の業種別では、特に「農産・水産品出荷団体」で輸送能力が32.5%不足すると分析。「特積み」(23.6%)、「元請けの運送事業者」(12.7%)、「紙・パルプ(製造業)」(12.1%)、「建設業、建材(製造業)」(10.1%)などと続いた。
(藤原秀行)