各社のデータ連携、新たな仕組み構築目指す
電機メーカーなどで構成する電子情報技術産業協会(JEITA)は12月9日、事務局を務める「Green x Digital コンソーシアム(グリーン カケル デジタル コンソーシアム)」がサプライチェーンのCO2排出量可視化に向けた企業間のCO2排出データ交換の実証実験を開始したと発表した。
コンソーシアムは環境関連分野のデジタル化や新たなビジネスモデルの創出などを通じて2050年カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)実現に寄与すべく、2021年に設立された。
可視化ソリューションの提供企業とユーザー企業の双方から計35社が参画。国際的な枠組みに基づいたソリューション間データ
連携の技術的な検証とサプライチェーン CO2算定の実務的な検証を実施し、より容易かつ正確に排出量を可視化できる仕組みを実現していくことを目指す。
50年のカーボンニュートラル実現に向け、あらゆる産業でサプライチェーン全体の脱炭素化、ネットゼロが強く求められており、その達成には自社排出分(スコープ1,2)だけではなく、サプライチェーンの上流・下流からの排出(スコープ3)を含むサプライチェーン全体のCO2排出量を正確に把握、削減に努力していくことが不可欠となっている。
「Green x Digital コンソーシアムの見える化WG(ワーキンググループ)」はデジタル技術を活用し、サプライチェーンの企業間でCO2排出量データを交換、スコープ3 を含むサプライチェーンのCO2排出量を見える化するための仕組みを検討。「CO2可視化フレームワーク」と「データ連携のための技術仕様」を策定した。
サプライチェーンはグローバルに展開されていることを踏まえ、国際的な枠組み「WBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)Partnership for Carbon Transparency(PACT)」と連携して活動を進めている。
今回の実証実験は「CO2可視化フレームワーク」と「データ連携のための技術仕様」に基づき、多様な業界の企業が共通的な方法で算定した排出量データを、異なるソリューション間でデータ連携し、サプライチェーンからのCO2排出量を正確かつ効率的に把握できることを確認する。
データ連携の技術的な検証を行うフェーズ1を23年1月末までに、ユーザー企業を交えてのCO2算定も含めた実務的な検証を行うフェーズ2を23年6月末までにそれぞれ完了させる予定。
Green x Digital コンソーシアムは今回の実証実験を通じ、企業間データ連携のユースケースを創出し、今後の社会実装に向けた産業界連携や官民協力を深めていく考え。
実験のイメージ(プレスリリースより引用)
実証実験参画予定企業数
35社(12月9日時点)
<フェーズ1>
プロジェクトマネージャ:野村総合研究所
[ソリューション提供企業15社]
アスエネ、アビームコンサルティング、SBI R3 Japan、クラウディオ、Sustech、ゼロボード、chaintope、デロイト トーマツ コンサルティング、日本オラクル、野村総合研究所、PID、日立製作所、日立ソリューションズ、booost technologies、富士通
<フェーズ2>
(*の企業はソリューション提供/ユーザー双方の役割を担う)
プロジェクトマネージャ:富士通、みずほリサーチ&テクノロジーズ
PMO:Ridgelinez
[ソリューション提供企業20社]
アスエネ、アビームコンサルティング、ウイングアーク1st、SBI R3 Japan、NTTデータ*、Sustech、鈴与商事、ゼロボード、chaintope、デロイト トーマツ コンサルティング、東芝*、NEC*、日本オラクル、野村総合研究所、PID、日立製作所*、日立ソリューションズ、booost technologies、富士通*、横河電機
[ソリューションユーザー企業18社]
アイシン、NTTデータ*、川崎重工業、キヤノン、住友電気工業、大日本印刷、東芝*、長瀬産業、日東電工、NEC*、ネットワンシステムズ、日立製作所*、富士通*、ブラザー工業、ホンダ、みずほリサーチ&テクノロジーズ、三井物産、ユニ・チャーム
(藤原秀行)