国交省が建ぺい率への不算入範囲拡大準備、悪天候でも荷さばき継続可能に
国土交通省は、倉庫や物流施設に大型ひさしを設置しやすくなるよう、4月に建築基準法の規制を緩和する準備を進めている。天候が悪くても大型ひさしの下で雨や雪を避けて荷さばきできるようにし、物流業務の効率化と就労環境の改善を後押しするのが狙いだ。
近く建築基準法の施行令を改正し、敷地面積に対してどの程度の広さ(建築面積)の建築物を建てることができるかを表す「建ぺい率」の算定方法を変更。現状は建築面積に算入しないひさしの部分を端から「1mまで」と設定しているのを「5mまで」に修正する。
これまでは不算入の面積が限られていたため、物流施設のデベロッパーらが大型のひさしを取り付けるのに慎重にならざるを得ないケースもあった。業界団体の日本倉庫協会や不動産協会などが大型ひさしに関する規制緩和を国交省に要請していた。物流施設も人手不足やEC関連の荷物増で業務の効率化を図ることが不可欠となっているのを受け、国交省は応じることにした。
両協会などの関係者は、災害が起きた場合は庫内で荷崩れが発生していても、支援物資をいったんひさしの下に仮置きして仕分けできるため、避難所などへ迅速に供給することが可能と指摘している。災害が頻発し、有事でも物流機能を止めないことがさらに強く求められているだけに、国交省としては大型ひさしの設置に関する規制を見直すことで、物流施設の災害対応機能向上も推し進めたいとの狙いがある。
規制緩和に際しては、隣の建物の敷地との境界線までの間に十分な空き地を確保するなど、防災上や衛生上の配慮を条件に設定する。
併せて、敷地面積に対してどの程度の延べ床面積の建築物を建てられるかを示す「容積率」についても同様に規制を見直す方向だ。
(藤原秀行)