【現地取材・動画】物流ロボットの米ローカスロボティクス、日本市場に参入

【現地取材・動画】物流ロボットの米ローカスロボティクス、日本市場に参入

第1弾は建材サンプルのネット販売事業、国内で3PLやECなどに売り込み図る

米国のロボットメーカーLocus Robotics(ローカスロボティクス)は1月11日、日本市場に参入すると発表した。

第1弾として、建材のサンプルを大量に使うマーケットサイトを手掛ける「Material Bank Japan(マテリアル・バンク・ジャパン)」を運営するDesign Future Japan(東京都渋谷区)が千葉県市川市で開設した物流拠点に、ローカスのAMR(自律移動ロボット)「LocusBots(ローカスボッツ)」25台を納入。ピッキング作業を自動化し、建材サンプル出荷の迅速化・省力化とマテリアル・バンク・ジャパンの顧客利便性向上を後押しする。

ローカスは2015年創業。欧米など17カ国で事業展開し、100社以上の顧客を抱え、250以上の物流拠点が1万台以上を稼働させている。DHLサプライチェーンやジオディスといった海外の大手物流企業も採用しているという。アジア・太平洋地域ではシンガポール、オーストラリアに次いで3カ国目。

マテリアル・バンク・ジャパンの物流拠点で同日記者会見したローカスのリック・フォークCEO(最高経営責任者)は「日本に進出できることを非常に楽しみにしている。われわれのロボットは日本でも受け入れていただけると感じている」と強調した。

競合とのAMRの差別化に関しては「日本でもすごくいいメーカーがあると聞いているが、われわれのロボットが持つ(ピッキング対象の商品がある場所への)ナビゲーションの能力は非常に高い」と強調。既存の中小型の物流施設でも大きな改修をせずにAMRを導入できる点や、作業量といったデータを分析してより効果的なオペレーションの実現に活用できる点などをメリットに挙げた。

採用している物流拠点では、ピッキングを担う従業員の1日当たりの歩行距離が5分の1から6分の1程度に短縮できたなどと成果を披露。「業務の生産性を2~3倍高めることができる」と自信を示し、日本でも3PL事業者やEC事業者らに売り込んでいく構えを見せた。


公開したローカスのAMR


モニターにピッキングする商品を表示


ピッキングをサポート

ローカスのAMRは、ピッキング対象の商品を納めた棚まで自動で移動、商品の数などをモニターに表示する。庫内作業スタッフはAMRに付いていけば正確にピッキングを終えられるため、作業負荷を大きく減らせる上に新人でもすぐに作業へ順応できると見込む。

マテリアル・バンクは米MATERIAL TECHNOLOGIES CORPORATIONが運営。建築物や店舗ディスプレイ、インテリアなどのデザイナーが、多様なメーカーの建材サンプルを同時に素早く検索、まとめて購入できるのが特徴。深夜零時までに注文すれば最短で翌朝に配送している。2019年以降、北米地域で10万人以上のデザイナーが利用し、現在は1日当たり約8万個を出荷しているという。

海外展開は日本が初めてで、Design Future Japanが日本事業を担っている。ESRが市川市で開発した物流施設「ESR市川ディストリビューションセンター」内の約6000㎡を活用し、同日に運用実証事業をスタートした。AMRを有効活用して、米国と同様に受注してから最短で翌日午前に出荷できるようにする考え。Design Future Japanは当初、約60社の商品を扱い、運用実証を経て今春の正式なサービス開始を目指している。

会見でDesign Future Japanの中沢剛CEOはAMR採用を決めた背景として、米国のマテリアル・バンクもローカスのAMRを利用しており、庫内作業効率化で実績を挙げている点などを列挙。「米国並みの物流サービスレベルを実現する上ではピッキングの効率化が極めて重要」とAMRの効果を語った。


会見するローカスロボティクスのフォークCEOとDesign Future Japanの中沢CEO


会見後の撮影に応じるフォーク氏と中沢氏

(藤原秀行)

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