マーケットプレイス運営開始のDesign Future Japan・中沢CEOインタビュー
建材サンプルマーケットプレイス「Material Bank Japan(マテリアル・バンク・ジャパン)」の運営を開始したDesign Future Japan(東京都渋谷区渋谷)の中沢剛CEO(最高経営責任者)はこのほど、物流拠点に米ローカスロボティクス製のピッキング支援AMR(自律移動ロボット)を導入する方針を発表したのに併せて、ロジビズ・オンラインの単独インタビューに応じた。
中沢CEOは、先に米MATERIAL TECHNOLOGIES CORPORATIONが米国で運営している「Material Bank」でもローカス製AMRを物流現場に採用、従業員の歩行距離を大幅に短縮できるなど大きな効果を上げていると説明。「そうした点に魅力を感じ、早くから導入を決めていた」と語るとともに、AMRを駆使して米国の「Material Bank」が展開している、原則注文から翌日の建材サンプル配送を日本でも手掛けていきたいと物流効率化に強い意欲を見せた。
会見の後の撮影に応じる中沢CEO。右は来日したローカスロボティクスのリック・フォークCEO
「Material Bank Japan」用物流施設に導入するローカス製AMR
3年以内に10万人規模の展開目指す
「Material Bank」は2019年に運営をスタート。建築物や店舗ディスプレイ、インテリアなどのデザイナーが、複数のブランドのサンプルを一括して検索、注文できることなどから人気を博し、設立から3年で利用したデザイナーが北米地域で10万人を超え、取り扱っているサンプルのメーカー数は450社に上っているという。
Design Future Japanは日本で「Material Bank」の運営を担うため、2021年に発足した。千葉県市川市でESRが開発した物流施設「ESR市川ディストリビューションセンター(DC)」内に物流拠点を開設。ローカス製のAMR25台を導入する方針を決定した。ローカスとしては日本初進出となる。
マーケットプレイス利用のイメージ
米国のMaterial Bank®倉庫の様子(いずれもDesign Future Japan提供)
中沢CEOは、建材サンプルは、需要の多いものから少ないものまで幅広く取りそろえる「ロングテール」戦略を採っているため、「様々なサンプルを在庫する必要があることから保管の効率性を高めるのにはおのずと限界がある」と指摘。「そのため、出荷の部分で効率を高めることがわれわれの物流戦略の重要な位置を占めている」と語り、AMRを導入する必然性を強調した。
その上で「日本でも翌日配送を実現していきたい。午前0時までに注文いただければ最短で翌朝にまとめてサンプルを受け取ることができる物流体制の構築を進めたい」と説明。複数のサンプルを1回の梱包で届けられるため、建材サンプルの物流効率化と持続可能性向上に寄与できる上、サンプルを探したり受け取ったりする時間の短縮によるデザイナーの働き方改革にもつながると自社サービスの意義をアピールした。
また、米国の「Material Bank」と同様に、梱包の簡素化やサンプルの再利用受付も実施、環境面での負荷軽減を図ることにも自信を見せた。ローカス製AMRを取り入れることで「戻ってきたサンプルのうち使用可能なものを再び棚に収めるという作業もスムーズに行うことができる」と期待をのぞかせた。
ローカスがAMRのリサイクルを積極的に進めている点についても「ESGの観点から非常に魅力があり、共感を覚えた」と述べた。
中沢CEOは数カ月の実証を経て、今春に本格サービス展開を始めたいと説明。実証中に3000人程度のデザイナーにサービスを体験したもらった上で、サービス開始から3年以内に10万人規模のデザイナーに展開していきたいと目標を説明した。
フォーク氏と共同で会見に臨んだ中沢氏
(藤原秀行)