サトーや日本総研、「ダイナミックプライシング」など活用したサプライチェーン効率化と食品ロス削減の実証実験へ

サトーや日本総研、「ダイナミックプライシング」など活用したサプライチェーン効率化と食品ロス削減の実証実験へ

2次元バーコード貼付で追跡管理、同SKUも賞味・消費期限別の価格で提供

今村商事とサトー、西日本イシダ、日本総合研究所、まいづる百貨店は1月24日、商品1つ1つについて賞味・消費期限別に在庫管理しながら、ダイナミックプライシング(変動料金制)による売り切りを図り、サプライチェーンの効率化と食品ロス削減への効果を検証する実証実験を行うと発表した。

経済産業省委託事業「令和4年度(2022年度)流通・物流の効率化・付加価値創出に係る基盤構築事業(IoT技術を活用したサプライチェーンの効率化及び食品ロス削減の事例創出)」に採択され、1月24日~2月26日に佐賀県内で実施する。各社はそれぞれの立場から実用化に取り組む。

国内で年間522万t(令和2年度=20年度)が発生している食品ロスのうち、企業など事業系の食品ロスは約半分の275万tに上る。食品ロスは仕入れが無駄になるのに加え、廃棄コストを発生させるなど利益を圧迫する大きな要因となっている上、SDGs達成の観点からも食品業界では重要な経営課題の一つとして削減に取り組んでいる。

食品流通は、賞味・消費期限という時間の制約の下で行われるため、賞味・消費期限の情報に応じて活動を変化させることが、サプライチェーンの効率化と売り切り促進に不可欠。最近は個々の商品在庫を賞味・消費期限別にITで管理し、在庫管理精度や発注精度を向上させることに大きな期待が寄せられている。

また、賞味・消費期限に応じて価格を変更するダイナミックプラシングを通じて商品を効率的に売り切ることもITの活用で可能となり、国内外で実証実験や実装が進んでいる。実験に参加する各社は最近の技術を取り入れ、問題解決を図る。

商品には、入荷時に2次元バーコード(GS1 DataMatrix)が印字されたラベルを貼り付け、ラベルの発行データを、ダイナミックプライシングの専用ツール「サトー・ダイナミック・プライシング・ソリューション(SDPS)に取り込むことで、賞味・消費期限別の在庫状況を可視化して管理。

SDPSは、あらかじめ設定した価格改定のルールに基づき、1日複数回、在庫状況を踏まえて自動で価格を設定する。その際、同じ商品でも賞味・消費期限の違いに合わせて、価格に差を付ける。設定した価格は電子棚札やPOS(販売時点情報管理)システムと自動連携する。

消費者は、電子棚札に表示された賞味・消費期限別の金額を確認した上で、それぞれの賞味・消費期限を表すラベルが貼られた商品を選択し、通常通りPOSレジで商品を購入する。GS1 DataMatrixのPOSレジでの読み取りは国内で初の導入事例になるという。

実験は賞味・消費期限の迫った商品については、在庫状況も踏まえながら、あらかじめ設定された価格改定ルールに基づき、1日複数回、電子棚札上の価格表示を自動的に更新。棚札(値札)の差し換えや値引きラベルの貼り付け作業といったこれまで必要だった店舗業務の負担が、どの程度軽減されるかを検証する狙いもある。

■実施概要
実施場所: まいづるキャロット浜玉店(佐賀県唐津市)
実施期間: 2023年1月24日(火)~2023年2月26日(日) 計34日間
対象商品: パン25SKU
実施主体: 今村商事、サトー、西日本イシダ、まいづる百貨店、日本総研
協力先: GS1 Japan(流通システム開発センター)、SES IMAGOTAGジャパン、リョーユーパン、レイメイコンピュータ

(藤原秀行)※写真類は各社提供

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