アイエヌジーの「注意喚起見える化サイン」
導入の拡大に続き事業化への関心高まる
アイエヌジーの「注意喚起見える化サイン」が新たなステージに進みはじめた。
安全管理担当者が思い描く通りの安全表示を、オフィスのプリンターで印刷して、必要な場所に必要なだけ簡単に貼れる「デジアナプリント・システム」を導入する企業が急増したのに続き、同システムを活用して新たな事業に参入したいとの問い合わせが相次いでいる。
工場・倉庫関連会社から問い合わせ殺到
自社の安全対策から新事業の展開へ
株式会社アイエヌジーは本誌LOGI-BIZ 2022年2月号に初めて「注意喚起見える化サイン」の情報を掲載した。それ以来、同社は毎日のように問い合わせの連絡を受けている。
実際に施工した現場からは、「見やすくなった」「注意する内容がひと目でわかりやすくなった」「場内・庫内が明るくなった」との意見が多数届いている。サインの強度についても、従来のテープや塗装に比べ圧倒的に優れている、との高い評価を得ている。
本誌22年7月号、同9月号では続報を掲載した。その結果、本当に強度があるのか、見やすくなるのか、そんな不安からくる“とりあえず試してみたい”という段階を超え、安全対策を次のステージに導く新たなツールとして注意喚起見える化サインを認識した上で、その事業化を検討したいという相談が舞い込むようになっている。
現在の問い合わせ内容は具体的には大きく二つに分類できる。一つは注意喚起見える化サインを自社で自由に製作できる「デジアナプリント・システム」の導入を検討したいという新規の引き合いだ。
そしてもう一つが、デジアナプリント・システムを使って新たな事業に参入したいという相談だ。物流系企業や施設運営管理会社などが、自社向けに同システムを導入するだけでなく、注意喚起見える化サインの制作と施工を荷主やテナント向けの新たなサービスとして展開することを計画している。
また某メーカーとは、工場の荷役等を委託している協力会社でシステムを導入して、メーカーが考案した安全サインを協力会社がオフィスで作成して各地の現場に施工する、という方向で話が進んでいる。
“どこにでも印刷”を可能にした
デジアナプリント・システムとは
「デジアナ」とは、デジタルとアナログの融合を意味している。アイエヌジーの注意喚起見える化サインの製作に欠かせないデジアナプリント・システムは、同社が開発して特許を取得している転写シート「スマートペーパー」を活用して、床面に限らず、パレットや台車、ヘルメットやマグカップなどさまざまな場所・モノへ印刷ができる。
大型の設備は不要。株式会社ミマキエンジニアリングとアイエヌジーが共同開発したプリンターを使い、スマートペーパーに印刷することで、従来の印刷の概念を超えて、“どこにでも印刷”することを可能にした。
注意喚起見える化サインはこの技術を応用した製品の一つである。印刷されたスマートペーパーを床面に貼り付けるとインクだけを床面に残すことができる。その上にトップコートを塗ることで、リフトが通っても剥がれないサインが完成する。
このシステムを導入すれば、オリジナルの安全表示を自分たちで簡単に作成できる。プリントしたスマートペーパーを現場に送り、自分たちの手で必要な場所に貼り付けてトップコートを塗ればよい。
少し考えてみてほしい。これまで現場の安全管理担当者が一生懸命になって探していたのは、“剥がれない”強力なテープやシートだった。しかし、良さそうな市販品を見つけても、現場のサイズ感とは合わなかったり、本来の注意内容を伝えきれない仕上がりになることが多かったりしたはずだ。
「強力で剥がれない」というベンダーの謳い文句につられて、想定していた安全表示とは多少違うものであっても、現状よりましになるのではと妥協して試してみる。しかし、その結果、やはりすぐに剥がれてしまい、もっと強力なものはないのかと再び探し始める。
目的は職場の安全であり、そのために注意喚起の見える化に取り組んでいるのに、それ以前のツール探しやツールを検証することに、安全管理担当者は不毛な時間と労力をかけなければならない。
その解消をアイエヌジーは提案している。注意喚起見える化サインの高い耐久性と視認性、防汚性は既に実証されている。そのため安全管理担当者は「どこに」「どんなものを設置すればよいのか」という本来の目的に取り組むことができる。それをかなえる手段がデジアナプリント・システムの導入なのだ。
テープやシールでの表示。視認性が弱く、ルールが明確に伝わっているかどうかについては疑問を残す。
“見える化”によって視認性が大幅にアップ。優れた耐久性で長期間にわたりルールを明確に伝える。
最適な安全管理は現場によって違う
しかも、現場は目まぐるしく変わる
場内・庫内の仕様やレイアウトは一度決めたら変わらないという現場は、今の時代、少なくなっている。製品の入れ替えや売れ筋の変化など、さまざまな要因から現場はめまぐるしく形を変えていく。AGVやマテハン設備など次々と出てくる新技術の導入、従業員の入れ替わり、外国人労働者比率の上昇なども、現場を大きく変える要因となっている。
こうした状況下で、テープや塗装による注意喚起と安全教育の徹底という従来通りの方法で現場の安全を確保しようとしても限界があることを、多くの安全管理担当者が感じている。
実際、現場で求められる安全対策は千差万別である。扱う商品が違えば、そこに導入されている設備も当然違う。場内・庫内の通路幅が違えば、安全表示に適したサイズも変わってくる。人が多いのか、ほとんどリフトしか通らないのか、交差点では何を優先し、どこで一旦停止が必要なのか。注意事項やルールは現場の数だけあると言えるだろう。
本気で安全対策に取り組むのであれば、現場で働く従業員の意見を取り入れながら、必要な場所に必要なだけ、安全管理担当者が思い描く安全表示をオリジナルで作ってしまえばよい。デジアナプリント・システムがそれを可能する。
「システム」と聞くと、高額な導入費用が必要な大掛かりな設備を思い浮かべるかもしれない。しかし、アイエヌジーの提案は非常にシンプルで簡単だ。オフィスに設置したプリンターで印刷したものを床に貼ればいい。それで現場に求められる“安全”が近づく。安全・快適な現場を自分たちの手で作ることができるのだ。
既製品の一時停止シールを貼っていたが、サイズ感が違い、すぐに汚れが目立った
注意喚起見える化サインなら、場所に合わせた大きさで視認性もアップ
人とリフトの交差頻度が多い場所へのサイン表示
「注意喚起表示用サイン」の事業性
3兆円近い潜在的な市場規模
デジアナプリント・システムを活用することで、工場・倉庫の安全表示は大きく様変わりする。一定規模以上の企業であれば、自社でデジアナプリント・システムを導入して、印刷から貼り付け加工まで社内で手掛けた方が経済的だ。
しかし、注意喚起見える化サインを現場で活用したいが、システムを購入するほどの規模はないという会社も多い。そこに目をつけたのが、物流倉庫や工場のメンテナンスを請け負っている施設運営管理会社、いわゆるプロパティマネジメント企業だ。管理を請け負っている倉庫や工場に、新しく効果的な安全表示の提案を持ちかけようという狙いだ。
実際、旺盛な需要を期待できる。アイエヌジーは施工依頼の問い合わせを受けると、既にデジアナプリント・システムを導入済みの会社を紹介する、という方法を採っている。しかし、施工依頼は日本全国から殺到しており十分に対応しきれていないのが現状だ。
小規模な物流倉庫でも、シャッター下や消火栓前などの法令に定められた最低限の場所に注意喚起見える化サインを施工するだけで、1件当たりの施工単価は100万円を下らない。さらには、施工をきっかけに設備メンテナンスを含めた継続性のある事業展開も期待できる。
令和4年の国土交通省の統計によると、平成30年1月1日現在、国内の工場・倉庫の総床面積は約8億4800万㎡。これら面積に対し5%に施工すると考えても、市場規模は3兆円近くとなる。
工場と倉庫だけではない。スマートペーパーは極めて汎用性が高い。対象を問わずに簡単に転写印刷できる。従って駅や港・空港、道路や滑走路、公園や娯楽施設、駐車場、オフィスまで、あらゆる施設に展開できる。
施設運営管理会社にとってこれまではテープを貼ったり塗装したりするだけだった現場のメンテナンスが、まったく手付かずの新市場として広がっている。その可能性に気づいた企業が、参入に向けていち早く動き始めているのである。
デジアナプリント・システムの多様な活用法
――パートナーと共に“現場に1台”の普及目指す
デジアナプリント・システムで使われる機械は、一般的に使われているプリンターにUVインクを搭載して、スマートペーパー(転写シート)を使えるようにカスタマイズしたものだ。決して床サイン専用のシステムではなく、フルカラー、フリーデザインで、多品種・小ロット生産ができるため、様々なニーズに対応する。
小さなモノにも印刷できるので、会社のロゴ入れや、周年記念・イベント用などのオリジナルグッズ、ノベルティーグッズ作りにも利用できる。アスファルトのような凸凹の路面や凹凸のある縞鋼板階段にも印刷が可能で貼る場所を選ばない。もちろんポスターや壁紙などを印刷して部屋の雰囲気や内装を簡単に変えることもできる。
パソコンでデータを作り、デジアナプリント・システムでプリントアウト。印刷したスマートペーパーを貼りたい場所に貼るだけ。インクだけを転写するので、仕上がりは直接プリントしたかのような美しさだ。
今やどんなオフィスにもプリンターや複合機が普及している。しかし、既存のプリンターは紙にしか印刷できない。デジアナプリント・システムなら、どこにでも何にでも印刷が可能なのだ。
誰もが安心できて、安全に、快適に働ける、事故で悩まない職場環境づくりのため、アイエヌジーは、現在のプリンターや複合機と同様に、あらゆる現場にデジアナプリント・システムを普及させることを将来ビジョンとして掲げている。そして、その多大な可能性を秘めた事業のパートナーが増えていくことを願っている。
表面に凹凸のあるコンクリート壁に印刷
公園内の歩行者通路に採用された子供の遊び場
お問い合わせ
株式会社アイエヌジー
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注意喚起表示用サイン 説明動画