【現地取材・動画】東洋製罐系の東洋メビウス、埼玉・熊谷で自動倉庫フル活用し「トラックを待たせない物流センター」稼働へ

【現地取材・動画】東洋製罐系の東洋メビウス、埼玉・熊谷で自動倉庫フル活用し「トラックを待たせない物流センター」稼働へ

「2024年問題」考慮、1台当たり15分程度で出荷作業完了見込む

東洋製罐グループホールディングス(GHD)傘下の物流企業、東洋メビウスは3月22日、新たに埼玉県熊谷市で竣工した「熊谷物流センター」のメディア向け内覧会を開催した。

東洋製罐GHDが妻沼西部工業団地内で取得した約9万2500㎡の土地の一画に建設した。地上4階建て、延床面積は2万1666㎡。深谷バイパスの上武ICから約5km、関越自動車道の東松山ICから約27kmに位置している。

主に東洋製罐が手掛ける酒類・飲料の容器の保管・入出荷を担う。トラックドライバーの長時間労働規制が強化される「2024年問題」などを踏まえ、自動倉庫をフル活用して取り扱う製品の入出荷作業を迅速化し、「トラックを待たせない物流センター」を体現するのが大きな特徴だ。本格稼働開始は4月1日の予定。

新センターが位置する埼玉県北部エリアは酒類・清涼飲料充填工場が多く存在しており、新センターは主に北関東の顧客向けに東洋製罐の生産拠点と得意先群をつなぐハブ倉庫として24時間体制で運営する。


熊谷物流センターの外観。左が高密度倉庫棟、右が平置棟

「フォークレス」で省力化・安全性向上も目指す

新センターは平置棟と高密度倉庫棟で構成。このうち高密度倉庫棟には住友重機械搬送システムの自動倉庫「マジックラック」を採用し、東洋製罐が製造する酒類・飲料容器を約8000パレット分保管できるようにしている。併せて、トラック荷台とパレット積み荷物のスムーズな受け渡しを可能にするトラックローダーも6式設置するなど、自動化・省力化に注力している。

東洋製罐からは製品の出荷先や出荷数量の1週間分の予定データが届き、出荷の前日に最終確定した予定データをシステム経由で受け取る。マジックラックが自動的に出荷先ごとに荷揃えし、出荷する。


製品の出荷作業デモの様子

在庫管理や入出荷の大半を自動化することで、トラック1台当たりの積み込み作業を平均15分程度で完了できると見込んでおり、トラックの待ち時間を解消するとともに、フォークリフトを使わずに作業を円滑に行える環境を実現、従業員の負荷軽減と構内の安全性向上を図る。入出荷エリアの前にトラック20台分の駐車場を確保している。

入出荷のラインを6本揃え、急な出荷時間の変更などがあって1本のラインが止まっても作業をストップせずに進められるよう配慮している。


自動倉庫内


保管する製品

過去の繁忙期に納品が集中した時間帯や納品数の実績などを考慮し、高密度倉庫棟は約8000パレット分と出荷が集中しても円滑にこなせる容量を確保。隣接する平置棟は各層の天井高が7.5mでトータル約7000パレット分の保管能力を持たせ、東洋製罐以外の荷主を保管することをメーンの役割と設定。荷量の変動に対応できるようにしている。

今後は2023年中をめどに、新センターにトラック予約受付システムも導入、物流の効率化・平準化を促進していく考え。天井にはオーウイルが取り扱う米国製の大型ファン10基を設置し、就労環境の改善に努める。

東洋メビウスは併せて、運送業務効率化の一環として、東洋製罐の埼玉県内の工場2カ所と同センター間の製品輸送に大型トレーラー2台を採用したことを明らかにした。従来トラックより1.5倍の積載量となり、ピストン輸送することで1回当たりの負荷を低減できると見込む。トラックの荷台には地元の熊谷市をアピールするメッセージや写真をラッピングし、地域貢献を目指す。


トレーラーの荷台部分に施したラッピング。熊谷市の祭りや自然などをアピール。後部は東洋製罐のゆるキャラも登場

このほか、環境対策として、高天井用の人感LEDセンサーライトを採用し、省エネを促進。平置棟の天井には太陽光発電パネル688枚を設置し、毎時最大約160kwの発電を可能にすることで、年間使用電力の約4割を再生可能エネルギーで賄い、温室効果ガス排出量を年間122t削減することを目指す。

ユニークな取り組みとしては、倉庫が24時間稼働となるため、伊藤園が開発した「茶殻配合防音パネル」を国内で初めて取り入れ、周辺環境に配慮。事務所の壁面にも茶殻入りのデザインウォールを設置している。

(藤原秀行)

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