エアロネクスト、「有事の活用可能性を確認」と成果強調
エアロネクストは4月28日、埼玉県秩父市で土砂崩落の影響が続く中津川地内への物流専用ドローン「AirTruck(エアトラック)」を使った物資の定期配送「&(アンド)プロジェクト」に関する結果を公表した。災害などの有事にドローンによる物資の定期配送を実施したのは国内で初めて。
プロジェクトに加わったゼンリンが既に、プロジェクトの概要を報告したのと同じく、エアロネクストも1月26日~3月30日の予定期間内に無事配送を続けられたと強調。「物流専用ドローンは、主に過疎地における自治体が抱える買い物弱者や医療弱者などの課題解決のための住民サービスとして活用できるだけでなく、有事の際や防災目的での活用の可能性も確認できた」と成果をアピールした。
プロジェクトは期間中の毎週木曜日に実施。通信面では従来モバイル通信が不安定だった環境下で米スペースXの衛星高速大容量通信サービス「Starlink(スターリンク)」を活用し、KDDIスマートドローンの運航管理システムと組み合わせ、遠隔制御による運航(飛行、離発着、荷下ろし)をエアロネクスト子会社のNEXT DELIVERYが展開。ゼンリンも公表している通り、往復約5.6kmのルートを合計28フライト飛び、総重量約100㎏の物資を配送し終えた。
プロジェクトは、3月2日の配以降、「レベル2」(無人地帯で目視内自動・自律飛行)から、より難度が高い「レベル3」(無人地帯で目視外飛行)の運航に移行。荷物の受け取り者(中津川区長)が第三者への注意喚起を行うことで補助者の役割も兼ね、人や物件との距離30mを確保できない運航で着陸地点を実質無人化することに成功した。
秩父市中津川区内を飛行する物流専用ドローンAirTruck
住民が注文した食料品や日用品の入った箱をドローンに取り付けるスタッフ (崩落地点手前の離陸地点)
規制線のロープを張る中津川区長 (崩落地点を超えた先の着陸地点)
中津川区長が、東京の遠隔運用者と離陸地点スタッフの3者間通話で着陸地点の状況を確認する中、ドローンが着陸 (崩落地点を超えた先の着陸地点)
安全確認後、ドローン配送された荷物をピックアップする中津川区長 (崩落地点を超えた先の着陸地点)
■実施概要・実績
実施日 |
2023年1月26日(木)~3月30日(木)まで |
実施エリア |
埼玉県秩父市中津川地内 |
ドローン飛行距離 |
5.6km(往復) |
取扱物資 |
食品、飲料、調味料、生活雑貨、新聞、医薬品、秩父市広報紙、回覧物など |
対象世帯 |
6世帯(6名) |
配送実績 |
合計28フライト、配送物資総重量…約100㎏ |
中津川地区着陸側の一連の流れ
(藤原秀行)※いずれもエアロネクスト提供