物流企業トップが入社式で送ったメッセージ①
新元号「令和」が公表され、次の時代の始まりが見えてきた4月1日、多くの物流企業で入社式が行われた。新人の門出を祝うかのように桜が咲き誇り始めた中、経営トップは人手不足の暴風が吹き荒れる物流業界へ果敢に飛び込み、未来を切り開こうとする若人たちにどんな思いを語ったのか。主要企業の言葉をピックアップして紹介する。
「全世界の従業員の力結集し新たなビジネス領域へ」
日立物流・中谷康夫社長
皆さんには最初にわれわれの力の源泉である「現場」への理解を深めてもらう。それには現場を実際に経験することが不可欠。当社にはさまざまな現場がある。その中で自分自身の得意な分野、強み、いわゆるコア領域ができてくる。若いうちは決して自分の可能性を限定しないでほしい。
皆さんが自分自身の領域を次々と超えていくことによって、会社も今までの領域を超えていける。その結果、物流領域にとどまらない新たなビジネスモデルを創造するビジネスコンセプト「LOGISTEED(ロジスティード)」の世界が実現できると考えている。これは会社が考える皆さんのキャリアプランであり会社そのものの成長戦略でもある。
皆さんが創造するビジネスモデルによって当社は変わっていくだろう。「以前は物流だけをやっていた会社」と認識されるぐらいの変革があってもよいと思っている。
全世界の従業員の力を結集しロジスティクスを超えてビジネスを新しい領域に導いていく。それこそが「LOGISTEED」であり皆さんの力が必要だ。大いに期待している。
「夢と情熱持った人が成長できる環境を整備」
近鉄エクスプレス・鳥居伸年社長
私たちのビジネスは航空会社、船社の運航サービスを利用してお客さまの要望通りに貨物を届けること。常に多くの不測の事態と背中合わせの中では、人による状況判断とコミュニケーションが不可欠になる。
もちろん業務効率を上げるために AI(人工知能)やロボットの導入は必要だが、状況判断業務とコミュニケーションは人の力によるところが大きく、この部分は将来的にも人間の力に委ねられると思う。ここでの差が私たちにとってのサービスの差になって表れてくる。
働き方改革を推進する中で時間外の労働時間も少なくなりつつあり、今後も会社全体で改善を進めていくが、皆さんはぜひ自身を向上させるためにその時間を有効利用していただきたい。体力も気力も充実した若い皆さんは、仕事にそして自身のために精一杯努力をして自己研鑽に努めてもらいたい。
将来いかなる時代にも逞しく生き残る社会人になるために、会社の環境を大いに利用してほしい。会社はそのように夢と情熱を持った人が成長できる環境をしっかりと整えるように一層努力をしていく。
「次の100年を一緒に創り上げていこう」
ヤマトホールディングス・長尾裕社長
新入社員の皆さんに期待することを3つお話しする。1つ目は関心・興味を持つ。2つ目は行動・体験する。3つ目は振り返り、考えることで吸収する。この 3つのサイクルをしっかりと各自で回すことができる社員になってほしい。
これからのヤマトグループが次の100年も成長を続け、地域で一番身近で一番愛される会社になるためには、ここにいる821人の皆さんをはじめ、ヤマトグループ22万人の力を合わせていかなければ決して成し遂げられない。ヤマトグループの次の100年を一緒に創り上げていこう。
(鳥羽俊一、藤原秀行)