標準的な運賃や運送約款の見直し、年内に方向性決定へ

標準的な運賃や運送約款の見直し、年内に方向性決定へ

官民検討会が初会合、「2024年問題」対応で適正転嫁促進狙い

国土交通省は8月30日、「標準的な運賃・標準運送約款の見直しに向けた検討会」の初会合を東京・霞が関の国交省内で開いた。

政府が6月に決定した、トラックドライバーの長時間労働規制強化に伴う物流現場の混乱が懸念されている「2024年問題」への対応を取りまとめた「政策パッケージ」の中で、燃料の高騰や物流拠点の荷待ち・荷役に要する費用などを荷主企業との取引料金へ適正に転嫁できるよう、国交省が告示している「標準的な運賃」と「標準貨物自動車運送約款」の見直しを図る方針を明示したのを受け、検討会を設置した。

検討会は委員として有識者に加え、国交省の貨物課長と物流政策課長、経済産業省の物流企画室長、農林水産省の食品流通課長が参加。併せて、オブザーバーで日本経済団体連合会(経団連)や全日本トラック協会、日本商工会議所の幹部、前日本運輸産業労働組合連合会と全国交通運輸労働組合総連合会の中央執行委員会らも加わっている。

同日の初会合では、10月の次回会合で見直しの方向性に関する提言の素案を提示した上で、12月に内容を取りまとめ、国交省が審議会に諮った上であらためて告示することを確認した。

事務局を務める国交省は協議すべき論点として、標準的な運賃はタリフ(運賃表)の見直し、輸送以外の荷役や荷待ちなどのサービスの対価追加、下請け企業への業務発注料金の水準提示、車建て運賃に加えて個建て運賃の提示などを示した。

標準約款に関しては、運送以外の荷待ちや荷役のサービスに関する取り扱いの明確化、書面化・電子化の促進などを提示した。

標準的な運賃は、当初は2024年3月末までの時限措置だったが、今年6月に通常国会で可決、成立した改正貨物自動車運送事業法により「当分の間」延長することが決まった。

(安藤照乃、藤原秀行)

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