最大15隻、チリ・コデルコの銅製品脱炭素化に使用想定
日本郵船は11月10日、グループのNYKバルク・プロジェクト(NBP)が11月7日、住友商事グループの大島造船所(長崎県西海市)と、温室効果ガスをほぼ出さないアンモニアを燃料として使用できるハンディマックスバルカー10~15隻を2020年代後半以降に建造する方向で検討することに合意したと発表した。
本船は重油とアンモニアを燃料として使用できるエンジン(主機関)を搭載した、二元燃料エンジン搭載船とすることを想定している。
NBPとチリの国営企業Corporación Nacional del Cobre de Chile(CODELCO、コデルコ)は本船を脱炭素技術の普及により需要が高まる銅製品の極東向け輸送に投入し、生産・輸送・供給の全過程で温室効果ガスを排出しないカーボンフリー銅製品の実現を目指す。
建造検討は昨年11月、コデルコとNBPが合意した銅製品の海上輸送の脱炭素化に向けた共同開発の覚書に則ったもので、洋上風力発電の送電線網整備や電気自動車の普及などにより、銅の需要は世界的に増加すると見込まれているのに対応する。
アンモニアは重油や液化天然ガス(LNG)と比較して単位当たりの熱量が低く、同距離の航行にはより多くの量が消費される。そのため、より大型の燃料タンクが必要となり、小型船のハンディマックスでのアンモニア燃料化は難易度が高い。本船が竣工すれば、ハンディマックスバルカーとして世界初のアンモニア燃料船となる見込み。
締結式に参加した(左から)NBP・須田雅志社長、大島造船所・河村浩一取締役、住友商事・野中紀彦常務執行役員、コデルコ・Máximo Pacheco取締役会議長(日本郵船提供)
(藤原秀行)