現地の慢性的渋滞や不十分な道路インフラ整備を考慮
エアロネクストは1月17日、国際協力機構(JICA)の2023年度「中小企業・SDGsビジネス支援事業」(~ビジネス化実証事業~)で、同社が携わっている「モンゴル国ドローン活用による医療品の配送網構築のためのビジネス化実証事業」が採択されたと発表した。
昨年度はやはり、JICA2022年度「中小企業・SDGsビジネス支援事業」のニーズ確認調査に採択されており、JICA「中小企業・SDGsビジネス支援事業」としては2年連続で、今回は「ビジネス化実証事業」に変わった。
モンゴルは全人口の半数(約160万人)が首都のウランバートルに集中しているため、慢性的な渋滞と不十分な道路インフラ整備がネックとなり、物流網が脆弱で救急車通行が妨げられるなど問題を抱えている。都市中心部の局所的なガソリン車利用により大気汚染も進んでいる。
エアロネクストはこうした社会課題が生活基盤存続に関わることであり、物の流れを効率化・最適化し、物流面から解決策を探ることを決め、ドローン技術を活用した新たな物流インフラ「新スマート物流」の推進検討のため、JICA「中小企業・SDGsビジネス支援事業」を通して、昨年9月にウランバートルで「モンゴル新スマート物流シンポジウム」を開催。「モンゴル新スマート物流推進ワーキンググループ」(WG)を発足させた。
さらに、昨年11月には同WGの活動の第一歩として、ウランバートルで医療定期配送網構築を目指し、モンゴル国民間航空庁から正式な許可承認を受け、標高1300m、外気温-15℃の過酷な環境の中、国立輸血センター、モンゴル国立医科大学付属モンゴル日本病院間の往復約10kmのルートでドローンによる血液輸送の実証実験を実施、無事成功させた。
「モンゴル新スマート物流シンポジウム」で行ったモンゴル新スマート物流推進ワーキンググループ発足式の様子
昨年11月に血液を載せて国立輸血センターの駐車場を離陸、飛行する物流専用ドローンAirTruck
ウランバートルで血液を載せて飛行するAirTruck
本事業を通して、昨年度に手掛けた活動をさらに進め、モンゴル現地の事業者や団体と連携し、モンゴルでドローンを活用した新スマート物流「SkyHub」の事業化へ具体的なビジネスモデルを構築・検証し、社会実装を目指す。
【採択案件概要】
提案内容:「モンゴル国ドローン活用による医療品の配送網構築のためのビジネス化実証事業」
調査期間:2024年3月~25年6月(予定)
実施概要(予定):
・ビジネスモデル構築・検討
運営コストの検討とともに、具体的な顧客を想定した持続可能なビジネスモデルの構築・検討を行う。
・ドローン運航体制確立に向けた検討
現地の気候・気象条件(寒冷気温、標高、風等)下で運用するための機体や備品の機能検証やドローン運航体制の確立、ドローン飛行に関する運用ルールの検討を行う。
(藤原秀行)※いずれもエアロネクスト提供