太陽光発電の余剰分を館内で有効活用可能に、自然とのつながり重視した設備も
三井不動産は3月25日、神奈川県海老名市で新たな物流施設「三井不動産ロジスティクスパーク(MFLP)海老名南」が3月31日に竣工すると発表した。日本ロジテムが1棟借りし、3PL事業の主要拠点として展開する。
外観
1階のPARK LOUNGE(パークラウンジ)
圏央道の寒川北ICから約4.2km、東名高速道路の厚木ICから約5.2Kmに位置し、首都圏と近畿圏、中京圏を結ぶ広域物流拠点として運営が期待できる立地。
1階トラックバースは45ftコンテナ車両に対応し、1階倉庫の積載荷重2.0t/㎡など、さまざまな保管ニーズに対応できる設計を採用している。72時間対応の非常用発電を備えるなど、BCPニーズも考慮している。
屋上には出力容量約750kWの太陽光パネルを設置し、三井不動産で運用、施設内へ再生可能エネルギー由来の電力を供給する。太陽光発電の余剰電力を活用するMFLP初の試みとして、施設外への売電を予定するとともに、パワーエックス製蓄電池型超急速EV(電気自動車)充電器「Hypercharger Compact」1台を設置、太陽光パネルの余剰電力を有効活用する。
屋内照明のLED化で省エネを推進し、最高ランクの「ZEB」認証取得およびDBJ Green Building4つ星を取得予定。MFLPブランドの案件では3施設目の「グリーンエネルギー倉庫」となる予定。
Hypercharger Compact
太陽光発電設備
非常用発電設備
さらに、三井不動産のMFLPブランド物流施設として初めて、近年自然とのつながりを感じられることで、疲労感やストレスが低減され、創造性や生産性、幸福度が上昇する効果が注目されている「Biophilic Design(バイオフィリックデザイン)」をparkERsブランドで取り入れている。
1階ラウンジは「PARK LOUNGE(パークラウンジ)」と名付け、絶え間なく流れる水音のシンボルとなる水景、カウンターテーブル、木漏れ日の下で休めるような間伐材のスツールを配置したリクライニングスペースを設けたり、東屋をコンセプトとした意匠と垂れ下がる植栽でより緑視率を高めた居心地の良いキッチンエリアを演出。自然界をイメージさせる音を流すなどして、室内にいながらも自然を楽しみつつリラックスできる空間を演出している。
以前よりこの地域にあり地元住民にも親しまれていた大規模な緑地帯をできる限り残すため、約3000㎡の既存樹林地や緑地空間を保全した。緑地空間につながる屋外テラスと1階ラウンジを一体設計し、通常の執務スペースから離れて気軽に自然を感じ、気分転換できる空間になるよう努めている。屋外テラスは既存緑地の植物に囲まれたピクニックテーブル/ハンモック/ブランコの3つのゾーンに分かれ、その日の気分や使い方に合わせて楽しめる公園のような空間を作り出そうと配慮している。
屋外テラス鳥瞰図
1階PARK LOUNGE(パークラウンジ)
ピクニックテーブル
ハンモック
ブランコ
エントランスにはさまざまな植物の花や葉、木、果実を彷彿とさせる@aroma製の100%天然エッセンシャルオイルを使ったアロマディフュザーの導入による空間演出を行い、室外と室内を繋げることを意識しているという。エントランスとラウンジをつなぐ直線廊下は間接照明を採用し、滞在性のあるエレベーターホールには柔らかく温かい木漏れ日を感じさせる特殊照明演出を施した。
やわらかな曲線のエントランス壁面は開発残土を約450kg使用した左官壁となっているほか、受付のカウンターは伐採樹木を利活用して製作するなど、既存の自然物を生かした設計を取り入れている。女性トイレにはOiTrを導入し、女性従業員の生理に伴う負担を軽減するなど、ワーカーの快適さにも配慮している。
エントランス左官壁
エレベーターホール
■施設概要
名 称 |
三井不動産ロジスティクスパーク海老名南(MFLP海老名南) |
所 在 |
神奈川県海老名市本郷517 |
敷地面積 |
18,110㎡(5,478.28坪) |
延床面積 |
37,470㎡(11,334.68坪) |
規模・構造 |
地上4階建て・S造 |
設計者・施工者 |
株式会社錢高組 |
竣 工 |
2024年3月31日 |
■位置図
<広域図>
<狭域図>
(藤原秀行)※いずれも三井不動産提供