パワーエックスが電気運搬船事業を分社化、穏やかな海域の海上送電に適したモデル公表

パワーエックスが電気運搬船事業を分社化、穏やかな海域の海上送電に適したモデル公表

船舶用コンテナ蓄電池を96個搭載、約2.4万世帯相当分の電力輸送可能と見込む

パワーエックスは4月23日、蓄電池に電池を溜めて運ぶ電気運搬船事業を今年2月9日付で分社化したと発表した。新たに完全子会社「海上パワーグリッド」を立ち上げた。

パワーエックスが展開してきた船舶・風力発電事業部と保有する専門技術を海上パワーグリッドに移管し、現在開発中の電気運搬船を実用化、海上送電事業の本格的に展開していくことを目指す。

併せて、海上パワーグリッドは4月23日、開発中の電気運搬船の派生モデルとして、短距離かつ穏やかな海域での運用に最適なバージ船「Power Barge(パワーバージ)」のコンセプトを発表した。

現在設計中の電気運搬船「Power Ark(パワーアーク)」および将来展開予定の「Power Barge」を戦略的に併用し、運用効率と経済性の向上を図る。1号船は2026年の竣工を目指す。

「Power Barge」は全長約81m、載貨重量約6000tに及ぶ大型バージ船で、推進機関を持たず、効率的に大量の荷物を運ぶための設計を施している。主に日中、太陽光発電などで生み出した電力の余剰分を都市部などの電力需要地へ送電することを想定している。

「Power Barge」はパワーエックス製のコンテナ型リン酸鉄リチウムイオン蓄電池を96個搭載。一度に最大240MWhの電力(約2万4000世帯が1日に利用する量)を運べるという。

筏形状の船体を持つため、「Power Barge」は瀬戸内海のような月平均有義波高が1.0m以下の穏やかな海域での使用に最適と見込んでおり、「Power Ark」と比べて、コストを抑えることが可能な船として設計している。

「Power Barge」の仕様

船長

81.0 m

船幅

30.0 m

載貨重量

6,000 ton

通常速力

5~8 knot

搭載蓄電池

20ftコンテナ型蓄電池(LFP)

蓄電池搭載個数

96個

総電池容量

240 MWh

防塵・防水性能

IP56(IEC Standard)


Power Barge」の運航想定エリア

(藤原秀行)※いずれもパワーエックス提供

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