自社物流網活用、新たなCO2も排出せず
カクヤスグループは5月22日、傘下で「なんでも酒屋カクヤス」などを展開するカクヤスが、自社独自の配送ネットワークを活用し、産業廃棄物の回収・運搬などを手掛けるイーコス(東京都千代田区外神田)、バイオディーゼル燃料の製造・販売を担うレボインターナショナルの両社と組み、家庭や飲食店から出る廃食用油を環境負荷の低い持続可能な航空燃料「SAF」やバイオディーゼル燃料「C-FUEL」に再資源化する取り組みを首都圏で6月下旬に始めると発表した。
カクヤスは首都圏を中心に、配達サービスを強みとした酒類・食品などの飲食店向け販売と、家庭向けに「なんでも酒やカクヤス」を年中無休で運営しており、独自の物流網を展開している。グループの事業の強みを活用し、環境負荷低減への貢献を目指す。
SAFは主にバイオマス(動植物由来の資源)や廃食用油、都市から出るごみなどを原料として製造している。従来の航空燃料よりも温室効果ガスを大幅に削減できると見込まれている。C-FUELも廃食用油を原料として作られる、温室効果ガスの削減効果が高い軽油代替燃料。
国内で発生する廃食用油は事業系で年間40万t、家庭系で年間10万tに達すると見込まれている。自治体などによる家庭の廃食用油回収が進んでいるが、多くは回収場所に直接持ち込むなど方法が限定的なのが課題となっている。
カクヤスの配送網を活用し、回収促進を後押しできると判断、イーコスのコンサルティングサポートを得ながら検討してきた。
カクヤスは首都圏で224拠点(今年3月時点)を運営し、自社物流網では仕入れから販売、ラストワンマイル配達までをワンストップで実施している。廃食用油の回収も飲食店や家庭の玄関先でできると見込む。
回収した廃食用油の集約は商品移動などで日々運用している社内物流を利用することで、廃食用油の回収によって新たにCO2を生み出さないとみている。
対象エリアは首都圏配達エリア内(東京23区全域、東京23区以外・神奈川・埼玉・千葉の一部)で、商品の配達時に一斗缶またはペットボトル容器に入った廃食用油を資源として買い取る(注文代金より差し引き)か、店頭購入時に資源として買い取る(同)。
カクヤスの各拠点で回収した廃食用油は社内物流センターおよび各配送センターに集約し、レボインターナショナルが引き取る。その後、レボインターナショナルがバイオ燃料化(SAF)する予定。
(藤原秀行)※いずれもカクヤスグループ提供