DHLサプライチェーン・ゴー社長、イノベーション導入意義を強調
日本と韓国を統括するDHLサプライチェーンのアルフレッド・ゴー社長は5月23日、東京都内で開催したイベント「DHLイノベーションデー」会場で記者会見した。
ゴー氏は今後20年間に日本の労働人口が1300万人近く減少するとの予測に言及。イノベーションを積極的に物流現場へ取り入れ、省人化・効率化を図ることが急務との認識を明らかにし、同社としても対応を進めていることをアピールした。
記者会見したゴー社長
先進機器導入ありきでなく、まず課題の正確な把握を
ゴー氏は物流現場のデジタル化や自動化、イノベーション活用について「雇用への影響はないのかという懸念も見られ、不安を感じておられる方人もいると思うが、それは全くの誤解だと考えている」と強調。
ドローン(小型無人機)を配送に用いて高齢者が買い物をするのを手助けできることなどを挙げ、「世界最大の物流企業という立場から考えると、オートメーション化やデジタル化はプロセスの最適化、リソースの活用度を高めるという意味で大きな効果があると確信している」と意義を訴えた。
同社の事例として、ある日本企業の物流現場にAGV(無人搬送機)の導入準備を進めており、本格的に稼働させれば30%の省人化が可能と見込んでいることを説明した。
併せて、「イノベーションは最初から、どこに導入できるかという話になりがちだが、そもそも現場のどこにどのような問題をあるかを把握することからスタートする必要がある。解決にはどんなテクノロジーがあるかを考えていくとより良い形で効果を出せる」と解説。
ロボットなどの先進機器導入ありきではなく、各現場の実情を細かくつかんだ上で最適なテクノロジーを組み合わせていくことが省人化・効率化の成果をより高める上に、導入に対する現場スタッフらの不安解消にもつながるとの見解を示した。
最適な“テクノロジーミックス”を提供する
会見に同席したDHLサプライチェーンの藤岡康郎副社長は「日本の物流現場は省人化を図っていかないと今後5年、10年すれば大変な状況になる。人がいなくて物が運べない、出荷できないということになる可能性も十分ある」と指摘。「当社としても採算を考えながら最良の“テクノロジーミックス”を検討、提供していく」と人手不足への対応に注力する姿勢を明示した。
DHLカスタマーソリューション&イノベーションのパン・メイ・イー氏(アジア太平洋イノベーションヘッド)は「まだまだ物流施設は人手に頼っている部分が大きい。AWB(航空貨物運送状)も半数はまだ紙ベースだ」と自動化、イノベーション導入の余地が非常に大きいことを説明。DHLグループとして物流施設の部分的な機械化など、多様なニーズに応えていくとの基本姿勢をPRした。
藤岡副社長
メイ・イー・パン氏
(藤原秀行)