商船三井、オランダのタンクターミナル運営大手を2600億円で買収へ

商船三井、オランダのタンクターミナル運営大手を2600億円で買収へ

化学品の輸送事業拡大目指す、保管機能増強

商船三井は3月10日、石油や化学品など液体貨物を保管するオランダのタンクターミナル運営大手LBC Tank Terminals Group Holding(LBCタンク・ターミナルズ・グループ・ホールディング)を買収すると発表した。

関係当局の承認を得た上で今年6月をめどに、投資ファンドなどから全株式を約17億1500万ドル(約2600億円)で取得する。

 
 


LBCのタンクターミナルとタンク


2024年末時点のLBC保有タンクターミナル所在地(いずれも商船三井提供)

LBCは化学産業が集積している欧州のアントワープやロッテルダム、米国のヒューストンやフリーポート、バトンルージュでターミナル7カ所を運営。化学品の取り扱いを得意としている。

合計約300万㎥のタンクや岸壁施設、パイプライン、鉄道・トラックへの積み出し施設を備えている。

商船三井は化学品を輸送するケミカルタンカー事業の成長に向け、2019年にNordic Tanker(ノルディック・タンカーズ)、2024年にFairfield Chemical Carriers(フェアフィールド・ケミカル・キャリアーズ)に出資。世界最大級の船隊規模を有している。

LBCの買収を通じ、欧米でタンクターミナルによる陸上での化学品など保管機能を増強。海上輸送からタンクコンテナを利用した小口輸送までラインアップを広げ、多様な輸送ニーズに応えられるようにする。

 
 

脱炭素を進める上で有効と期待が高まっているアンモニアやCO2の輸送需要が伸びると見込まれるため、LBCと連携し、陸上貯蔵の領域を強化していきたい考え。

商船三井は、LBCがタンクの保管能力増強による事業拡大を計画していることに言及。こうした点を踏まえた今回の投資利回り(エクイティIRR)は10%程度になると見込んでいると強調している。

(藤原秀行)

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