野村不動産とIHIが共同開発、パレット1枚分から提供し保管需要へ柔軟対応
野村不動産とIHIは4月16日、横浜市金沢区で共同開発した大規模なマルチテナント型物流施設「Landport（ランドポート）横浜杉田」をメディアなどに公開した。
2019年に閉鎖したIHIの工場跡地を再開発した。地上4階建て、延床面積は16万3409㎡。首都高速道路湾岸線の杉田ICから約800mで、神奈川県や東京都への配送に加え、道路網を活用して首都圏の広域をカバーできる立地とみている。
既に複数のテナントが入居を決めており、4月1日に満床で稼働を始めた。
「Landport横浜杉田」の外観
「オープン・シェア型物流施設」を標ぼうし、野村不動産の物流施設としては初めて、立体自動倉庫をテナント企業がシェアして1パレット分から利用できるサービスを提供する。テナント企業の保管需要へ柔軟に対応し、物流施設全体の魅力を高める狙いがある。
併せて、地域社会との連携を重視し、施設内の敷地に開放的でイベントも開催できる広場「LandHOOP」（ランドフープ）を設けたり、住民らが使えるコミュニティスペースを配置したりしている。地元の横浜市金沢区と防災協定を結んでおり、津波の際は地域住民約1000人が物流施設屋上に避難できるよう受け入れる。
地域住民も使える広場
住民らが利用可能なコミュニティスペース
自動倉庫はIHIグループのIHI物流産業システムが手掛けるパレット保管タイプで、3～4階の吹き抜け部分に設置しており、保管容量は4020パレット。利用したい場合は専用のシステム経由であらかじめ予約する。テナント企業は物流施設のフロアと自動倉庫を両方借りることで、繁忙期に通常より取扱量が増えた分をバッファーとして自動倉庫に収めるといった使い方ができるようになる。
他にも、野村不動産が主導して展開している、物流領域の自動化・省人化に向け様々な課題解決を目指す企業間の共創プログラム「Techrum（テクラム）」の一環として、テナント企業へ荷降ろしロボットなどの自動化機器やマテハン設備をレンタルするサービスも行う。
倉庫内
シェアリングを実施するパレット自動倉庫
働きやすい環境を整備するため、カフェテリアを設けたり、最上階の4階フロアに作業用空調設備を取り付けたりしているほか、屋上菜園も設置し、地域住民らも訪問、交流できるようにする。
広場にはこの地域由来の貴重な在来種の「杉田梅」を植栽、伝統的な文化の復興に協力する。450人の3日分の食料品や生理用品を収める防災備蓄倉庫を整備。非常用発電機なども採用している。
1階のカフェ
カフェには「杉田梅」にちなんで梅を連想させるデザインのものを配置している
4階フロアの作業用空調設備
屋上の太陽光発電設備
施設概要
所在地：神奈川県横浜市金沢区昭和町3174
交通アクセス：首都高速湾岸線「杉田」出入口680m、JR根岸線「新杉田」駅徒歩16分、横浜ｼｰｻｲﾄﾞﾗｲﾝ「南部市場」駅徒歩4分
敷地面積：71,034.94㎡（21,488.06坪）
延床面積：163,409.47㎡（49,431.36坪）
設計・施工：五洋建設株式会社
構造・規模：地上4階建・柱RC 梁S造・免震構造 ダブルランプ型
（藤原秀行）
