5月に工事本格開始、国交省や地元自治体と連携強化
成田国際空港会社(NAA)の田村明比古社長は4月24日の定例記者会見で、中野洋昌国土交通相と4月4日に会談した際、同空港の機能強化に向けた滑走路の延伸や3本目の滑走路設置のための工事を5月から本格的に始めるとの見通しを伝えたことを明らかにした。
中野国交相からは、用地確保の取り組みを強化することなどの指示を受けたという。田村社長は必要な用地の1割強がまだ取得できていないことを念頭に置き、「空港運営会社として全力を尽くしたい」と述べ、計画として打ち出している2028年度末の供用開始を目指し、国交省航空局や地元自治体と連携しながら残る用地の確保へ地権者との交渉などに注力する姿勢を強調した。
国交省航空局とは滑走路用地確保のための対策本部を立ち上げており、地元自治体とも協議の場を設けて円滑な意思疎通や情報交換などを図る方向。
会見する田村社長
田村社長はまた、成田空港の機能強化をうたった将来構想について「いくつかの柱があるが、貨物は最も重要なものだ」と指摘。利便性の高い貨物施設の整備などを着実に進めていきたいとの決意をあらためて示した。
トランプ米大統領の関税引き上げ政策による航空貨物輸送への影響については「見通しはなかなか立たないが、直近では目立った物量の変化があるわけではない。ただ、“関税戦争”のような状況が長引けば、航空需要にとってはいいことは1つもない。貨物にまず影響が出てくるし、経済の減速で個人所得が減れば旅客にも影響する可能性がある」と説明。「あまりひどいことにならないよう収束、決着してほしいと期待している」との思いを語った。
(藤原秀行)