ロート製薬とミルボン、Haleonジャパンの3社が共同配送開始、コスト1割強削減

ロート製薬とミルボン、Haleonジャパンの3社が共同配送開始、コスト1割強削減

トラック使用は年間102台削減を想定

ロート製薬と業務用ヘアケア剤大手のミルボン、英国のヘルスケア商品大手Haleon(ヘイリオン)の日本法人Haleonジャパンの3社は10月8日、東陽倉庫の協力を得て今年8月に製品の共同配送を開始したと発表した。


積み付けの様子。上段がロート製薬、下段がミルボンの製品

3社は配送ルートで共通性があったことから、製品を混載する共同輸送システムを構築。輸送効率の最大化やCO2排出抑制、ドライバーの負荷軽減を図ることにした。

ロート製薬は三重県伊賀市の製造拠点「上野テクノセンター」から、神奈川県相模原市の東陽倉庫が運営する倉庫へ製品を輸送。製品規格サイズによっては平積みで輸送する必要もあるため、輸送時の余剰空間が発生し、積載率の改善が課題となっていた。

ミルボンは三重県伊賀市の製造拠点「ゆめが丘工場」から、埼玉県加須市の倉庫まで製品を輸送。単独での積載効率化の限界や過剰供給のリスクなどに直面していた。

Haleonジャパンは神奈川県相模原市に拠点を持つ企業に展開製品の一部の製品製造を委託。同社が生産した製品の工場倉庫を担う同市の東陽倉庫が運営する倉庫から、埼玉県加須市の自社物流拠点へ製品を輸送。製品規格サイズにより平積みで輸送するため、輸送時の余剰空間が発生し、やはり積載率を改善する必要に迫られていた。

3社は共同配送に踏み切ることで、それぞれが抱える問題の解決と業務効率向上につなげられると判断した。

パレットサイズ、輸送量、製品安全の問題など、各社の様々な制約条件をクリアするため、共同配送に適した製品選定、積載技術の検証、品質テストを実施。製造拠点と倉庫間をリレー方式でつなぐことで、積載効率の最大化、ドライバースイッチなど長距離輸送でも過負荷なく運行できる体制を整えた。


共同配送の取り組み

具体的な効果として、週1回共同配送を実施した場合、積載率は13.7%向上(平均66.5%→75.6%)、輸送効率としてトラックの使用を102台/年(67.1%)削減、総合輸送距離も1万5428km/年(38.6%)短縮、CO2排出量も13.3t-CO₂/年(32.8%)抑制といった成果を得られたとみている。

コストは18.4%減らし、1運行の単価が19.2%改善。相互扶助とドライバーの雇用環境改善に寄与しているという。

3社は今後、月1便で実施している運行を週1便へ増便し、定期化・安定運用を図るとともに、成功事例やノウハウを活かし協力企業を増やすことで拠点拡大を目指す。並行して、タイムスケジュールの自動化など物流DXを推進し、積載率の最適化や省人化の推進を狙う。

(藤原秀行)※いずれも3社提供

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