親会社にもマニュアル改善申し入れ
公正取引委員会は10月31日、トヨタ自動車グループで車両製造を手掛けるトヨタ自動車東日本(宮城県大衡村)に対し、自動車部品の製造委託先に金型などを長期間保管させていたのは下請法で禁じる「不当な経済上の利益の提供要請」に該当するとして、是正を勧告した。
併せて、トヨタ自動車にも、改善を求める申し入れを行った。
公取委によると、トヨタ自動車東日本は遅くとも2024年4月~25年3月にかけ、長期間発注をしていないにも関わらず、委託先10社に対し、計440個の金型などを無償で保管させていた。
また、金型を廃棄する際、委託先に部品を一定量作らせ、供給に支障がないようにしており、遅くとも23年8月~25年3月の間、委託先7社に作りだめをさせた部品計777個を同じく無償で保管させていた。
トヨタ自動車東日本は今年5月、無償で金型などを保管させていた費用に相当する額として、委託先に約940万円を支払ったという。
さらに、作りだめさせた部品は受け取ったが代金を払っておらず、公取委は下請法で禁止している「(製品などの)受領拒否」に当たると判断、是正を指導した。トヨタ自動車東日本は約93万円を支払ったという。
併せて、トヨタ自動車には、同社が作成した部品発注などに関するマニュアルが今回の違反行為につながったとみて、改善を申し入れた。
トヨタ自動車東日本は同日、「このたびの勧告を厳粛に受け止め、本勧告に基づく取締役会決議を行うとともに、金型等及び自動車部品の適切な管理に特に留意した下請法の研修を行うなど社内体制の整備のために必要な措置を講じ、また本件について役員及び従業員に周知徹底するなど、本勧告において求められた措置を速やかに実行し、再発防止を進めてまいります」とのコメントを発表した。
(藤原秀行)



