【現地取材・動画】セブン-イレブンの商品、自動運転トラック活用し幹線輸送開始

【現地取材・動画】セブン-イレブンの商品、自動運転トラック活用し幹線輸送開始

T2などと神奈川~兵庫間450kmで実証実験、商用運行参加目指す

自動運転トラックの開発を担うT2とセブン-イレブン・ジャパン、同社の物流を手掛ける三井物産流通グループ(MRG)の3社は12月1日、自動運転トラックを用いた商品の長距離輸送の実証を関東~関西間の高速道路一部区間で実施すると発表した。

3社によれば、国内のコンビニ・スーパー業界で同種の実証を行うのは初めてという。「物流2024年問題」やドライバー不足が課題となる中、自動運転トラックを活用し、配送機能の維持・発展を図りたい考え。

実証は同日から2026年4月までの間、計3回行う予定。MRGの「埼玉第二センター」(埼玉県新座市)から「関西センター」(兵庫県尼崎市)の間の約520kmのうち、東名高速道路・綾瀬スマートIC(神奈川県綾瀬市)~名神高速道路・尼崎IC(兵庫県尼崎市)間の約450kmで自動運転を実施する。

取り扱うのはセブンのPB(プライベートブランド)商品「セブンプレミアム」の常温商品で、具体的にはビニール傘やカップみそ汁、キッチンペーパー、ソフトパックティッシュなど。

自動運転はドライバーが同乗し、有事の際はすぐに運転を代わる「レベル2」で行う。輸送時に商品がダメージを受けないかや、どの程度の時間を要するかなどを検証した上で、T2が今年7月に関東~関西間の高速道路でスタートした「レベル2」自動運転の幹線輸送商用運行に参加することを視野に入れている。


自動運転トラックに積み込んだセブンのPB商品


輸送で取り扱うPB商品の例

T2は27年度に、より高度な「レベル4」(特定条件下での完全無人)自動運転による幹線輸送サービスの開始を目指しており、セブンやMRGも参加を念頭に置いている。

今回の実証では併せて、セブンが地域で回収した使用済み食用油から生成したバイオ燃料を自動運転トラックに使い、環境負荷低減の効果も見極める予定。

東京都内で同日、記者会見したT2の熊部雅友CEO(最高経営責任者)は「トラックドライバー不足による物流危機を踏まえると、特に高速道路を含めた長距離の輸送力確保は喫緊の課題だ。レベル4自動運転トラックの実現と、関東~関西を結ぶ拠点の構築をさらに加速させていきたい」と述べた。

セブンの山口繁執行役員QC・物流管理本部長は「当社も輸送力不足に対して非常に強い危機感を持ってさまざまな対応を進めている。売り場が狭く、取り扱い品目が非常に多岐にわたるコンビニという業態にとって、物流はビジネスの生命線と表現しても過言ではない」と語り、幹線輸送自動化の効果に強い期待を表明。

MRGの柴田幸介社長は「(長距離の)輸送品質向上と安定運用の実現、有人と自動の区別なき安全安心の確保、走行時の効率向上による燃料消費やCO2排出抑制にもつながるものではないかと期待している」と述べた。


会見後の撮影に応じる(左から)セブン・山口氏、MRG・柴田氏、T2・熊部氏

(藤原秀行)

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