帝国データ調査、荷主で認知進まず
帝国データバンクは5月28日、政府が今年4月1日付で全面施行した改正物流効率化法の認知状況に関する調査結果を公表した。
改正物効法の内容を「知っている」「ある程度知っている」と答えた割合が合計で2割に届かず、認知が進んでいないことが浮き彫りとなった。
物流停滞に対して重要と考える対策は「関係事業者間での連携の強化」が約4割で最も高く、物流量やタイミングの調整など運用面の対応も上位に並んだ。
業界別では、主要な荷主事業者は認知している比率が2割以下となったほか、重要と考える対策にも違いが見られた。
調査は4月16~30日、インターネットで実施。全国2万3083社のうち、有効回答企業数は45.7%に相当する1万538社だった。
改正物効化法に関し、「制度の内容を含めてよく知っている」は2.8%、「制度の内容を含めてある程度知っている」は14.0%で、両者を合わせた「内容を知っている」企業は16.8%にとどまった。
その一方、「名前は聞いたことがあるが、制度の内容は知らない」は33.7%、「知らない(名前も聞いたことがない)」は35.9%で、合計すると「内容を知らない」企業は69.7%に届いた。
企業からは、「改正物流効率化法は、当社にとって規制への対応ではなく、持続可能で効率的なサプライチェーン構築に資する取り組みと捉えている」(機械製造)、「法律の内容に対する理解を深めるとともに、自社で納品可能な体制や分納の仕組みづくりが必要」(出版・印刷)といった前向きな声が寄せられた。
一方で、「適正な運賃での取引が実現していないにもかかわらず、制度だけが先行している」や「現場の実態とかけ離れており、机上の空論に感じる」(ともに運輸・倉庫)といった、実務を担う運送事業者からの厳しい指摘も出ていた。

認知状況
規模別に、「内容を知っている」割合を見ると、取り扱う貨物量がより多い傾向にある「大企業」は23.9%で、全体を7.1ポイント上回った。
業界別では、トラック運送など物流事業者が多くを占める「運輸・倉庫」が61.8%と突出して高かった。
他方、原材料調達から出荷まで物流依存度の高い荷主側の「製造」は20.2%、「卸売」も18.7%と、ともに平均を上回ったものの、2割前後と低水準だった。
「小売」は9.2%で全体を下回り、主に着荷主として物流との接点が多いにも関わらず、認知が進んでいないことが明らかになった。
企業からは、「初めて知ることだったので、今から自社で何ができるか検討したい」(繊維・繊維製品・服飾品小売)といった声が聞かれた。

「内容を知っている」企業の割合 ~規模・業界別~
働き方改革に伴う「物流2024年問題」やドライバー不足による物流停滞が懸念される中、重要と考える対策・取り組みについて尋ねたところ、「関係事業者間での連携の強化」が39.3%で首位だった(複数回答、以下同)。「運輸・倉庫」「製造」「卸売」のいずれも4割に達し、当事者にとって物流課題は自社単独では解決しにくいとの認識が広がっていることがうかがえた。
次いで、混雑日時の回避、発送量・頻度の見直し、復荷など「配送・運行計画の最適化」(24.4%)や「リードタイム(発注から納品までの時間)の確保」(23.5%)といった物流量やタイミングを調整する運用面での対応が並んだ。
さらに、自動化など「デジタル技術の活用による業務の効率化」(21.7%)も上位にランクインした。
一方で、「物流に関する責任者の選任」(5.3%)といった組織体制の整備に加え、「輸送用器具(パレットなど)の活用による効率化」(7.3%)や、フォークリフト、バース、人員の適正配置などの「荷役作業が円滑に行える環境整備」(9.8%)といった現場における荷役作業の効率化に関する項目は、いずれも低水準にとどまった。

物流の停滞に対する重要な対策・取り組み
物流事業者の「運輸・倉庫」と、主要な荷主の「製造」「卸売」「小売」を比較すると、「運輸・倉庫」は多くの項目で重要とする割合が相対的に高く、課題意識の高さが幅広い分野で見られた。
中でも、「運輸・倉庫」の割合が「荷主事業者」の全てを10ポイント以上上回ったのは、「繁忙期と閑散期の平準化」、「荷役作業が円滑に行える環境整備」、「社内教育体制の整備」だった。
一方で、「リードタイム(発注から納品までの時間)の確保」のみ、「荷主事業者」を下回っており、物流事業者と荷主事業者との間で、重要と考える対策に違いが感じられた。
企業からは、「ドライバー、物流事業者、荷主が相互に理解を深め、連絡や打ち合わせを綿密に行うことが重要」(建設)や、「発荷主と着荷主の取り決めが物流事業者に共有されないことで、事故や無理が生じている」(その他サービス)といった声が聞かれ、関係事業者間の連携の重要性が示された。
また、「着荷主が午前中のみの受け入れとするなどの課題があり、改善が必要」(食料品卸売)や、「発送量・納入量の適正化や適切なリードタイムの確保が求められる」、「発荷主・着荷主の意識改革が必要」(ともに運輸・倉庫)との声が聞かれ、荷主側の改善を求める声も複数出ていた。
さらに、「運送料金を引き上げ、従業員の賃金改善につなげる」や、「物流現場の実態を踏まえ、積極的に労働ができる環境づくりに向けた法整備を進めるべき」(ともに運輸・倉庫)といった指摘も見られ、ドライバー確保や労働環境の改善に向けた取り組みの重要性も挙がった。
(藤原秀行)※いずれも帝国データバンク資料より引用











