UDトラックスと日本通運、ホクレンが北海道・斜里町で共同実験公開
UDトラックスと日本通運、ホクレン農業協同組合連合会(札幌市)は8月29日、北海道斜里町の「ホクレン中斜里製糖工場」で、国内初となる限られた場所の中でドライバーが操縦せずに走る「レベル4」の自動運転の実証実験を公開した。ルートの一部で公道を通ったのも日本で最初となった。
トラックは甜菜の運搬を想定し、工場近くの国道を含む約1・3キロメートルを時速20キロメートルで走行。不測の事態に備えてドライバーが運転席に乗り込んだがハンドルには手を触れず、トラックが自動で方向転換したり、指定した場所にバックで入ったりした。
3者は今年8月に入り、同工場内でレベル4の自動走行実験を繰り返してきた。実験の成果を踏まえ、UDトラックスは早ければ2020年に物流施設や工場の敷地内、港湾や空港、農場などの限られたエリア内でトラックが貨物を運搬する自動運転を商業化したい考えだ。
実験後の記念撮影に応じる(左から)北海道の土屋俊亮副知事、ホクレンの内田和幸代表理事会長、日本通運の竹津久雄副社長、UDトラックスの酒巻孝光社長とダグラス・ナカノ開発部門統括責任者
日本通運もUDトラックスの技術を借りてトラックドライバー不足に対応していくことを視野に入れている。農業もドライバーの確保が困難になっているため、ホクレンは自動運転技術を取り入れ、農作物の安定的な輸送力を確保することに期待を寄せている。
実験に用いたのはUDトラックスの大型車両「クオン」で、高精度のGPSやミリ波レーダーなどを搭載。実験に際しては公道の走行部分を閉鎖するなど安全に配慮した。
UDトラックスは18年にまとめた次世代技術ロードマップの中で、30年までに完全自動運転トラックと大型電動化トラックの量産を実現することを打ち出している。レベル4の自動運転も目標達成に向けた過程と位置付けている。
(藤原秀行)