東商リサーチ調査
東京商工リサーチは6月11日、中東情勢緊迫化が企業のナフサ(粗製ガソリン)調達にどの程度影響を及ぼしているかを調査した結果を公表した。
ナフサやシンナーなど石油化学製品基礎原料の供給不安が広がる中、在庫を積み増した企業は30.7%(5707社中1757社)で、製造業は40.4%(1600社中647社)に到達した。
企業の規模別では中小企業が31.2%(5307社中1661社)で、大企業の24.0%(400社中96社)を上回った。
「調達量と価格のいずれか、または両方に支障がある」と回答した企業も85.0%(5326社)に達し、ナフサなどの原料不足の影響が、幅広い産業に広がっていることを浮き彫りにした。
東証リサーチは「供給不安の解消が見通せず、『目詰まり』が問題視されているが、事業継続のための防衛的な在庫積み増しが明らかになった」と指摘している。
「調達量と価格のいずれか、または両方に支障がある」と回答した企業の規模別では、大企業86.1%、中小企業85.0%と差がなかった。また、ナフサの目詰まりが問題になっているが、3割の企業が在庫を積み増したと回答した。
6月1~8日にインターネットでアンケート調査を実施し、有効回答6788社を集計・分析した。資本金1億円以上を大企業、1億円未満(個人企業などを含む)を中小企業と定義した。東京商工リサーチがナフサ供給に関してアンケート調査を行うのは今回が初めて。
Q1.ナフサなどの石油化学製品の原料について、政府は「日本全体で必要な量は確保できている」との見解です。現在、貴社が使用する石油化学製品の調達に支障はありますか?(単一回答)
最多は「調達量・価格ともに支障がある」の54.1%(6259社中3390社)だった。以下、「調達量は問題ないが、価格は支障がある」の25.8%(1617社)、「調達量に支障をきたしているが、価格は問題ない」の5.1%(319社)と続いた。調達量・価格ともに問題ないと回答したのは14.9%(933社)にとどまった。
規模別では、それぞれの設問で大企業と中小企業は3%以内の差にとどまり、影響は規模を問わず広がっている。
「調達量に支障がある」と回答した業種別(中分類、分母10以上)では、トップは「自動車整備業」の86.7%(53社中46社)だった。「価格に支障がある」のトップは「プラスチック製品製造業」の(111社の全て)と「非鉄金属製造業」(34社の全て)の各100.0%だった。

Q2.中東情勢の緊迫化(2026年2月末)以降、貴社は石油化学製品の在庫を積み増しましたか?数量ベースでご回答ください。(単一回答)
積み増したと回答した企業のうち、最多は「前年比1-20%程度増加させた」の22.2%(1272社)だった。以下、「前年比21-40%程度増加させた」が6.2%(358社)、「前年比41-60%程度増加させた」が1.3%と続いた。
規模別で見ると、在庫を積み増した企業は中小企業で31.2%(5307社中1661社)に対し、大企業は24.0%(400社中96社)にとどまった。中小企業ほど、防衛的な在庫積み増しに動いているとみられる。
産業別では、製造業の40.4%(1600社中647社)が最も高かった。次いで、小売業の37.3%(340社中127社)、卸売業の34.2%(1080社中370社)と続いた。

ナフサなどの在庫を「前年比で増加させた」もしくは「前年比で減少させた」企業を業種別(中分類、分母10以上)で分類した。
増加させた業種は、トップが「非鉄金属製造業」の53.1%(32社中17社)、次いで「ゴム製品製造業」の50.0%(22社中11社)、「洗濯・理容・美容・浴場業」の47.3%(19社中9社)と続いた。
Q3.政府は5月、「6月に必要な原油を確保できる見通しが立つことから、第3弾の国家備蓄放出はしない」と公表しました。貴社はこの方針を支持しますか?(単一回答)
6788社から回答を得た。最多は「どちらともいえない」が47.4%(3220社)で、次いで「ある程度支持する」が23.8%(1616社)、「あまり支持しない」が13.4%(914社)だった。
半数が判断を避け、「大いに支持する」と「ある程度支持する」が合計30.5%だったのに対し、「あまり支持しない」と「全く支持しない」は21.9%だった。
規模別では、大企業では「支持する」が28.1%、中小企業では30.7%と大差なく、「支持しない」は大企業で18.4%、中小企業で22.2%とわずかながら中小企業が上回った。
産業別では、「支持する」が最も多いのは「情報通信業」の38.2%、「支持しない」が最も多いのは「小売業」の24.3%だった。

(藤原秀行)※いずれも東京商工リサーチ資料より引用










