年650億円程度見通し、公的支援強化の正当性に疑問視も
政府が郵便局のネットワークを維持するための新たな交付金制度を設けることなどを柱とした改正郵政民営化関連法が6月19日、参議院本会議で与野党の賛成多数で可決、成立した。
自民党の国会議員らが提出していた。
交付金の規模は年間約650億円規模となる見通し。原資は政府が保有している日本郵政株式の配当金や、長期間預けっぱなしで権利が消滅した郵便貯金などを利用する。交付は2027年度に始まる予定。
併せて、日本郵便の「本来業務」に住民票発行といった自治体業務の受託を追加。公共サービスを補完することを政府からの支援の前提とすることを打ち出している。
日本郵政が傘下のゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の金融2社の株式について、3分の1を超える分を「当分の間」保有することを義務化。「できる限り早期に処分する」と設定してきた従来の方針を転換した。グループの収益の多くを金融2社に頼っているため、連携を維持する狙いがある。
全般的に郵便事業基盤を維持させるために政府が関与を強める内容となっている。背景には日本郵便の厳しい経営状況がある。
日本郵便が手掛ける郵便・郵政事業は26年3月期連結決算まで3期連続の営業赤字が続く。日本郵政は26年度から3年間の中期経営計画で、収益改善に向け、集配拠点の500カ所削減などで社員を7000人減らす方針を打ち出している。
ただ、郵便局網は現行の2万4000カ所を維持する方針を変えておらず、経営効率化の効果を十分出せるかどうかは不透明だ。集配業務の点呼不備の後も、収賄容疑で日本郵便の元社員が逮捕されるなど不祥事は後を絶たない。
業務効率化や法令順守徹底が不十分な中で、公的な支援を強化することへの正当性を疑問視する向きも物流業界などには多い。
(藤原秀行)










