物流の輸送力不足など課題解決に貢献目指す
極東開発工業は8月21日、愛知県豊田市で、グループの研究開発を担う新たな中核拠点「極東開発グループ テクニカルセンター」が竣工し、8月に本格稼働を開始したと発表した。

新センターはテストコースを中心に、環境・油圧試験、振動試験、ロードシミュレータによる実車評価を行う3つの試験棟、試作・検査に対応する工場棟、開発・品質保証部門が集う事務所棟で構成。
各拠点で培ってきた技術や知見、研究開発に携わる人材、試作・試験・評価設備を集約し、研究開発の質とスピードを高めたい考え。
新センターを物流の輸送力不足、原油高・コスト高、CO2排出・温暖化、自然災害の激甚化といった社会課題の解決に貢献する技術開発拠点として活用し、社会インフラを支える高付加価値な製品・サービスを迅速に市場へ提供していくことを目指す。
名 称 : 極東開発グループ テクニカルセンター
所 在 地 : 愛知県豊田市御船町山ノ神 56-4
事業主体 : 極東開発工業株式会社
敷地面積 : 174,205.63 ㎡ (事業区域)
(内、建築可能敷地 49,374.03 ㎡)
延床面積 : 5,582.06 ㎡
建築面積 : 4,822.37 ㎡
構 造 : 鉄骨造

全長600m級のテストコース
車両や製品の試作から、部品単位の試験、車両全体の耐久評価、実車走行の確認までを一貫して行える環境を実現。併せて、開発部門と品質保証部門を同一拠点に配置し、設計、試作、試験、評価、改善のサイクルを迅速化する。
多様な製品分野の専門技術者が連携することで、新たな技術や製品の創出も促進できると見込む。
トレーラのオーバル走行試験に対応する全幅50m、全長600mのテストコースを備えており、舗装はミリ単位の平坦度で施工した非常に高い剛性の多層構造としているほか、中心部には100mの特殊試験路を設置し、車両の走行試験や制動試験、トレーラの認証取得にも活用する。
実車試験をいつでも行える環境を確保することで、トレーラ開発の精度とスピードを格段に向上させることを可能にする。

特殊試験路には、石畳の凹凸を再現した「ベルジアン路」、走行時に変化する左右の位相を再現した「長波形路」、自由に突起量を設定できる「可変突起路」の3種類を備え、厳しい環境・状況で使用される特装車やトレーラに求められる耐久性を定常的に実車で評価できるようにしている。


試験棟Aには、実際の使用で想定される腐食、温度、湿度などの環境条件を再現する各種設備と、油圧製品の性能・耐久性を評価する油圧試験室を導入している。
【主な設備】
・複合サイクル試験機
塩水噴霧・湿潤・浸漬・乾燥・外気導入・低温・湿潤高湿など様々な条件を組合せたサイクル試験を行う装置。亜熱帯や寒冷地などの使用環境を、より詳細に再現した試験を行うことが可能。

・塩水噴霧装置
塩水を噴霧し、主に金属材料の耐蝕性を調べるための装置。錆の発生を促すことで、より実際に近い腐食の評価を行うことが可能。
・キャス試験機
塩水に塩化銅を添加した溶液を噴霧し、主に金属材料の耐蝕性を調べるための装置。塩水噴霧よりも過酷な環境を作り出すことで、より防蝕性の高い部品の研究・開発を行う。

・恒温恒湿器
製品や部品の温度・湿度に対する耐久性を評価する。温度は-40℃~+150℃、湿度は20%~98%まで幅広い設定が可能で、様々な環境を想定した試験を行えるようにしている。

・純水製造装置
イオン・残留塩素・有機物・微粒子などの不純物を除去した、高精度な実験や評価に欠かすことができない純水を連続的に供給するための装置。
・油圧試験室
油圧製品の品質や耐久性の実験・評価を行う設備。室内は吸音材で密に囲われ、騒音や油漏れのリスクを最大級に低減しているほか、万が一の際の備えとして、環境や人体への害が少ない窒素を使用した不活性ガス消火設備を備え、安全性に配慮しながら、高負荷の試験を実施できる環境を整備している。
試験棟Bは、車両が走行時や作業時に振動が繰り返すことで発生する疲労破壊を防ぐ構造設計を行うため、疲労強度の評価を行う装置の振動試験機を大小3台設けている。最大の装置は荷重が1000kgのものまで振動させることができる。
テールゲートリフタやタイヤを装着した状態のスペアタイヤキャリアなど、大型製品もそのまま振動させることができるため、より実車に近い状態の高い精度で、短期間での耐久性評価を実現する。

試験棟Cは、新センターを象徴する評価設備の一つ「ロードシミュレータ」を設置する専用試験棟として運営する。
大型車両を繰り返し加振する際に発生する大きな荷重や振動を確実に受け止め、精度の高い試験を安定して実施するため、強固な基礎を高い施工精度で構築している。
ロードシミュレータは、油圧アクチュエータによって車両のタイヤや足回りを加振し、実際の道路を走行した際に車体へ加わる振動や負荷を室内で再現する。実走行データに基づく振動を繰り返し与えることで、車体、架装物、足回り、各種部品の耐久性を高い精度で評価する。
中型・大型トラックに加え、トレーラを実車状態で丸ごと振動評価できるロードシミュレータを国内で初めて導入する。
車輪間隔と軸間距離を車両に合わせて調整できる3軸対応の加振台と、トレーラの連結部を支持・加振する第5輪加振機を備え、中型・大型トラックからトレーラまで、幅広い車種・車両寸法に対応する。
同一の試験条件を繰り返し再現できるため、評価結果の比較、不具合原因の分析、構造変更後の効果確認を効率的に行える上、長期間の実走行に相当する負荷を試験棟内で集中的に与えることで、品質向上と耐久評価期間の大幅な短縮を図る。
ロードシミュレータは、2027年4月の稼働開始を予定している。

工場棟には、製品の試作設備と完成車両の法規対応検査設備を取り入れ、成形・機械加工設備で試作を効率化し、検査設備により厳正に検査する。
設計部門と試作部門が密に連携することで、機能、生産性などを早期に検証し、製品開発の効率化を目指す。
2階にはテストコース全域を見渡す監視ルームを設置し、無線を用いて車両や試験状況を確認しながら、安全な試験を行えるよう配慮する。

事務所棟には、技術者が研究に集中できる執務空間と、専門分野を越えて知見を交わす開かれた交流空間を備え、集中と共創のメリハリある開発環境を整えている。
1階には約40年にわたり培ってきた電子制御技術をさらに進化させるラボラトリーを設置。特殊で厳しい車載条件を想定し、電子機器の性能や耐久性を評価する設備を備え、電動化、ネットワーク化(CASE)、AIなどの先進技術開発を加速させる。
2階の執務エリアでは、開発部門と品質保証部門をはじめとする最大70人の技術者が執務できる。異なる製品分野の技術者が連携することで、従来の組織や製品の枠を越えた技術開発を促す。
3階には、テストコースを望むカフェテリアを設け、技術者同士の交流・リフレッシュを後押しする。

事務所棟1階のエントランスホールには、創立70周年記念事業として、可動状態までレストアした1964年製の3輪ダンプトラックを展示している。
特装車の原点ともいえるダンプトラックの構造や動きを通じ、創業当時の設計思想とものづくりの精神を学び、将来の技術発展につなげる「レガシー」として活用する。

(藤原秀行)※いずれもプレスリリースより引用








