シャワーなど想定、働く場としての魅力アップに貢献
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LIXILは2月19日に東京・有明の東京ビッグサイトで開幕した「国際物流総合展2020 -INNOVATION EXPO-」に、物流施設など向けに開発した、シャワートイレや洗面器を備えた可動式アメニティーブース「withCUBE(ウィズキューブ)」を出展した。排水圧送粉砕ポンプを採用しており、事前に電気工事などを済ませた上で、これまでは配管の近くにしか置けなかったトイレを物流施設の好きな場所に導入できるようにしたのが特徴。
先進的な物流施設が相次ぎ開発される中、マルチテナント型は1フロアを複数の企業が分割して利用する場合、フロアの場所によってはトイレまでの距離が遠くなることがあった。繁忙期に多くのスタッフが庫内で働く場合、トイレが足りなくなるケースも出ている。
同社は物流施設の事情を踏まえ、清潔なトイレを簡単に取り入れられるようにすることで、入居企業の現場スタッフ定着を後押しできるとみている。4月に受注を開始する予定。将来はトイレにとどまらず、シャワーなど多様なアメニティー施設を可動式で提供できるようにし、物流施設の働く場としての魅力を高めることに貢献していきたい考えだ。
展示されている「withCUBE」
全部で4タイプを準備
東京五輪・パラ見据えた「レガシー」に
「withCUBE」はユニット式で、従来の工法による常設トイレと同程度の品質や堅牢さを実現。既存のパイプシャフトの位置を気にせずに取り付けられる上、増設や撤去もすぐに済ませられる。トイレに擬音装置を搭載したり、室内照明や化粧鏡が付いた洗面台タイプを用意したりと、女性が働くことが多い物流施設の環境に配慮している。
同社は使い方の一例として、トラックバースの近くに配置すれば、ドライバーが作業スペースの近くですぐに用を足せるようになり、快適性や現場作業の効率を向上させられると予想。
工場であらかじめ組み立てた上で現場まで搬送するため、最短1日で設置が可能。増設や場所移動にも柔軟に対応できる。レンタルで提供し、基本契約の期間は3年と設定。初期費用を除いた月額料金は1台当たり3万円台とする方向で検討している。専門スタッフによる月1回の定期清掃やメンテナンスのサービスも付帯する。
開発を担当したLIXIL WATER TECHNOLOGY JAPANサービス事業推進部の田中義親部長は、開発に約3年を要したと振り返る。3PL事業者ら約50社にヒアリングした結果、可動式トイレのニーズが見込めると確認したという。LIXIL自身も衛生陶器などのメーカーとして物流施設を使う荷主企業でもあり、その際の体験も参考にした。
田中部長は「古い物流施設はもちろん、先進的な物流施設でも標準的なトイレの数では足りない場合があり、両方にとってお役立ていただけると思う」と説明。「新築の物流施設でも30年間の長きにわたって使い続ける中で、入居企業のトイレに対するニーズが当初の計画から変わることも十分考えられる。シャワーや休憩スペースといったアメニティー設備に関しても同様であり、入居企業の方々のニーズに沿って自由に場所を変えられるようにすることが可能だ」と強調する。
東京オリンピック・パラリンピックを控え、スポーツ関係施設などの建設ラッシュが続いている。LIXILのオリンピック・パラリンピック商品部長も兼務している田中部長は物流施設以外にもスポーツ関係施設や商業施設など向けに「withCUBE」の利用を働き掛けていきたいとの意向を表明。「アメニティーブースは多くの人が集まる施設の姿を大きく変えていく可能性があり、五輪開催のレガシー(遺産)として残せるよう努めていきたい」と語った。
田中部長
(藤原秀行)