“明朗会計”で利用しやすく、必要台数試算も容易に
三菱商事は2月17日、物流施設内のピッキング作業などを手掛けるロボットの導入を支援するサービス「Roboware(ロボウェア)」で、新たな取り組みとして月額のレンタル料金を専用ウェブサイト上で公開を始めると正式発表した。併せて、各ユーザーが必要なロボット台数を専用ウェブサイト上で試算できるようにした。
ロボウェアは物流ロボットを顧客の買い切りかレンタル、もしくはその両方を組み合わせた計3パターンを設定。このうちレンタルは台数に応じて毎月の従量課金制で貸し出す「Robot As A Service(RaaS)」形態で提供している。RaaSに要する金額をシンプルに設定、分かりやすく示す“明朗会計”へ移行し、どの程度の台数が最適なのかも概略をつかめるようにすることで、物流事業者や荷主企業がロボットを導入するハードルを下げるのが狙い。
RaaSの具体的な料金をウェブサイトで幅広く公開するのは異例。ユーザーから「最も必要な料金の情報がなかなか把握できない」との声が出ていることに配慮した。
ロボウェアは現在、インド発祥のロボットベンチャーGreyOrange(グレイオレンジ)製の「Ranger(レンジャー)GTP」(旧名Butler=バトラー=)、中国の新興ロボットメーカー、シリウスロボティクス製の自律走行型ロボット(AMR)「FlexComet(フレックスコメット)」の2種類を取り扱っている。レンタル料金を公表しているのはこのうちレンジャーGTPが対象。
レンジャーGTPは商品を納めた専用の棚の下に潜り込んで持ち上げ、入出荷エリアまで運ぶ仕組み。RaaSを利用する場合、10~20台の場合は1台当たり月額24万円、21~50台は19万円、51台以上は17万円と設定している。電源工事など初期導入費用の部分については、ユーザーの現場の条件によって変動があるため、別途調整となる。
レンジャーGTP
ロボウェアは2020年4月にスタート。ユーザーが取り扱う荷物量の増減に応じて適切な台数を使えるよう後押しし、コストを抑えることでよりロボットを使いやすくするのが狙い。荷物取扱量の波動に応じてロボットの台数が調整可能なため、貴重なロボットが遊休化せず、有効活用できると見込む。
ロボットの運用管理は三菱商事が独自に開発したソフトウエアを活用。ユーザーが使っている既存のWMS(倉庫管理システム)と連携してロボウェアを使う顧客側のシステム改修を最小限にとどめられるのも特徴だ。
料金はロボット自体に加えソフトウエアや保守運用費用も組み込んでおり、どの程度の期間で採算が取れるようになるかを容易に把握できるよう配慮している。
ユーザーにロボットを貸したり売り切ったりして終わりではなく、最適なロボットの選択から導入台数の分析、ロボットを活用したオペレーションの組み立てまで包括的なサポートも提供する。日本梱包運輸倉庫が三重県鈴鹿市の物流拠点でレンジャーGTP導入を決めるなど、成果を挙げつつある。
三菱商事物流開発部の中西心紀マネージャーは「ご提供するロボットのラインアップを増やしていくのに加え、入り口の料金も分かりやすくお示しすることで、柔軟にロボットを使えるというRaaSのメリットをより身近なものに感じていただけるようにしたい」と説明している。
必要台数試算のページ(三菱商事ウェブサイトより引用)
(藤原秀行)