海運領域の温室効果ガス排出削減に期待
日本郵船、日本シップヤード、日本海事協会の3者は6月2日、ノルウェーの肥料大手ヤラ・インターナショナルとアンモニアを主燃料とする液化アンモニアガス運搬専用船(AFAGC=Ammonia Fueled Ammonia Gas Carrier)の実用化に向けた共同検討に関する覚書を締結したと発表した。
アンモニアは燃焼してもCO2を排出しないため、地球温暖化対策に貢献する次世代燃料として期待されており、さらにアンモニアの原料となる水素にCO2フリー水素を活用することでゼロ・エミッション化の実現が可能と言われている。
特に、アンモニアを発電燃料として利用することで大幅なCO2排出削減が期待されており、石炭火力発電所でのアンモニア混焼発電に向けた開発が進められている。また海運分野でも国際海事機関(IMO)が、国際海運分野からのGHG(温室効果ガス)排出量を2050年までに半減させ、今世紀中の早期にゼロとする目標を掲げており、達成に貢献する代替燃料としてアンモニアの注目度が高まっている。
今回の連携は日本郵船、日本シップヤード、日本海事協会が20年8月から実施している世界初のAFAGC実用化に向けた研究開発の一環。AFAGCは主燃料をアンモニアとすることで船舶からのCO2排出低減に寄与するとともに、積荷のアンモニアを舶用燃料として活用するため外航船舶のゼロエミッション化の早期実現が期待されている。また、今後需要拡大が見込まれるアンモニアの安定的・経済的なサプライチェーン構築にも寄与すると見込まれる。
3者はヤラとの覚書締結により船の設計開発、オペレーション手法の検討、法規制対応の検討、経済性の評価など、より具体的な運航要件に基づく検討を進める。
Yara(傭船者) | 運航要件の策定 傭船者としての経済性の評価 |
日本郵船(船主) | 運航手法の策定 法規対応の検討 AFAGC導入による環境性評価 船主としての経済性の評価 |
日本シップヤード(造船会社) | AFAGCの研究開発及び設計 CO2排出削減量の推算 |
日本海事協会(船級協会) | 安全性に関する技術検証 ガイドラインの策定 |
(画像はプレスリリースより引用)
(ロジビズ・オンライン編集部)