コロナワクチン普及などで米中が高い伸び、日本も引き上げ
世界銀行は6月8日、世界経済見通しを改定した。
グローバル全体の経済成長率について、物価変動の影響を除いた実質ベースで2021年は前年比5・6%と予想。1月公表の前回予想から1・5ポイント上方修正した。新型コロナウイルスのワクチン接種が進み、米中経済の回復ペースが加速すると分析。世界銀行は景気後退局面からの伸びとしては過去80年で最も高くなると説明している。
ただ、国内総生産(GDP)の総額を見ても、21年末時点ではコロナ禍がもたらした危機以前の予測を約2%下回っている。世界銀行は「新興国や途上国の多くは依然コロナの世界的流行の影響を受けている」と指摘。先進国との間で回復のペースに差が生まれていることに懸念を示した。
主要国別の21年成長予想では、米国は6・8%で前回から3・3ポイント引き上げた。大規模な経済対策の効果を見込むほか、コロナワクチンの接種が進んだことも急回復につながり、37年ぶりの高い伸びになるとみている。中国は8・5%で、前回から0・6ポイント上方修正した。
日本も前回予想から0・4ポイントアップの2・9%と予測。東京オリンピック・パラリンピックが海外からの観客受け入れを断念したため、経済効果が限定的になると分析しているが、経済は堅調さを取り戻してくると想定している。
22年の世界成長率は4・3%と試算しているが、変異ウイルス拡大などが起これば2・7%に落ち込む可能性があるとの見方を示した。同時に、ワクチンの普及が想定以上に進んだ場合は5・0%に高まることもあり得ると見積もっている。
(藤原秀行)