カメラ11台で撮影した画像を分析、車両発進抑制機能も装備
三菱重工業と三菱ロジスネクストは9月13日、大型フォークリフトの運転時にAIを駆使して人の接近を検知・警告する機能を有した独自システム「グッドファインダー」を、全国の三菱ロジスネクスト販売店を通じて提供を開始したと発表した。
グッドファインダーはフォークリフトに設置した計11台の監視カメラで周囲を監視。捉えた映像からAIが人のみを高速・高精度で判別し、車両と人が接近していることを検知すると、警告音とLED点灯で運転者へ危険を知らせ、周囲の安全確認を促す仕組み。停車時に人を検知すると車両の発進を抑える発進抑制機能も標準装備している。
監視カメラは近距離用と遠距離用の2種類を準備。車速によって検知範囲を自動で切り替える。多数のカメラを使うことで死角を極限まで少なくし、取得した画像から深層学習して車両周囲の人のみを検知するコントローラは、映像処理時の動作遅れを生じさせない処理能力も備えている。
フォークリフトの事故は年間約2000件発生しており、横ばい傾向が続いている。特に大型フォークリフトのような車体が大きな車両は死角も大きく、ミラーやカメラを搭載していても運転者が常に注視しないと十分な効果が得られないのが課題だった。両社は新システムを生かし、事故を大幅に減らしたい考えだ。
フォークリフトの事故防止では、豊田自動織機トヨタL&Fカンパニーも8月、フォークリフト後方に作業している人間や物を検知するとオペレーターにブザーとランプで警告するとともに走行速度や発進を自動的に抑制する安全運転支援システム「SEnS+(センスプラス)」を開発したと発表している。
グッドファインダーの機能のイメージ
装着する大型フォークリフトのイメージ(いずれも三菱重工業と三菱ロジスネクスト提供)
(藤原秀行)