自動倉庫やAGV、ケース仕分けロボットなど活用、23年上期の竣工・稼働開始
花王は3月3日、柔軟で効率的な生産体制と新たな物流モデルの構築を目指し、豊橋工場(愛知県豊橋市)を生産・物流機能一体型サプライチェーン拠点へ変革すると発表した。
同工場はスキンケア・ヘアケア製品を中心に多品種を生産。生活者の購買行動の変化による需要の変動や、少子高齢化による労働人口の減少に対応し、働きやすい環境を実現するため、ロボットやAIなどを利用したフレキシブルな生産体制の構築に取り組んでいる。
新たに完全自動化倉庫を建設し、工場の物流自動化および配送機能を担うロジスティクスセンターと一体運営することで、連携して柔軟に製品を供給できる「豊橋コネクテッド・フレキシブル・ファクトリー」の実現を図る。
豊橋コネクテッド・フレキシブル・ファクトリーのイメージ(以下、いずれも花王提供)
今年2月に着工した新倉庫は、建築面積が約7150平方メートル、自動倉庫の保管能力は120万梱、自動化設備による入出荷能力は各4万梱/日を計画。23年上期の竣工・稼働開始を予定している。
ケース仕分けロボット、無人搬送車(AGV)、無人フォークリフトなど先端技術を利用した自動化設備を取り入れ、倉庫内の仕分け作業は固定された作業場所を必要とせず、仕分けロボットとAGVが自在にパレットへの積み付けとパレットからの荷卸しを同時に行う、自由度の高い完全自動化を実現する設計を採用。
太陽光発電の導入による使用電力の再生可能エネルギー化や、花王独自の技術による廃PETを原料としたアスファルト改質剤「ニュートラック 5000」の使用など、環境性能に優れた施設を想定。CASBEEあいちAランク※2およびBELS5☆の取得も予定している。
建築や制御システム、物流機器等の先端企業と協働し、ロジスティクスの効率化と、作業環境の改善や環境負荷低減による持続可能なサプライチェーンの共創を推進する。
工場内トラック搬送のスマート化に向け、経済産業省資源エネルギー庁公募の令和3年度「AI・IoT等を活用した更なる輸送効率化推進事業」による自動運転フォークリフト実証事業と連携し、積み卸ろし作業の自動化・無人化を図るとともに、工場へのトラック入退場をスマート化し、トラック待機時間の削減とドライバーが安心して活動できるホワイト物流を推進する。
豊橋新自動倉庫の完成イメージ
さらに、物流倉庫のロボットフレンドリーな環境整備を念頭に、ロボット革命産業IoTイニシアティブ協議会の物流倉庫テクニカルコミッティーに参画。多様な取り組みで無駄のない製品供給と所要時間の短縮、トレーサビリティ管理、物流コストの抑制や、電気自動車・燃料電池車等のトラック導入、太陽光発電による環境負荷の低減、物流作業の自動化・無人化による労働環境の改善など、トータルサプライチェーンの効率化と人と環境に優しい生活者起点の物流サービスを実現できる新たな物流モデルの構築を進める。
導入予定の仕分けロボット
導入予定のAGV
(藤原秀行)