リードタイム短縮などでBtoBの物流支援、EC成長にも対応
4月1日付で就任したUPSジャパンの西原哲夫新社長は4月21日、東京都江東区新木場の物流拠点「新木場集配センター」で就任後初となる事業戦略説明の記者会見を開いた。
西原氏はUPSジャパンとしてこれまでに輸配送ネットワークの拡充や協力物流企業との連携強化、顧客の特性に即したサービスの提供に努めており、自らも踏襲していく姿勢を強調。その一環として、従来の2倍の規模に拡張、UPSグループとしてもアジア最大規模となった同集配センターを活用し、リードタイムの短縮などでBtoBの物流機能強化を図っていく方針を表明した。
自動車産業、半導体、機械装置、エレクトロニクス全般のほか、小売の領域にも注力していく考えを説明。「われわれのようなスピードがある小口貨物のサービスを使えば在庫を減らせる。それはお客様のバランスシートに大きく貢献する。製造ラインがダウンした場合の復旧などにも貢献できる」と優位性をアピールした。
併せて、越境ECの需要増に対応し、ECに特化したコンサルティング企業などと手を組んでECで海外展開を目指す企業をサポートすることなどに意欲を示した。
会見する西原社長
同センターはプロロジスが開発した物流施設「プロロジスパーク東京新木場」に入居。従来は1階に集配センターと倉庫(上屋)を配置していたが、4階に集配センターを移した上で、集配センターと倉庫の面積をいずれも2倍に広げている。4階は5200平方メートル、上屋は4460平方メートルに及ぶ。
羽田空港や成田空港へのアクセスに強みを持ち、都心にも近い立地を活用。オートコンベヤーを導入することなどで生産性が20%改善できると見込んでいる。
プロロジスパーク東京新木場の外観(プロロジスウェブサイトより引用)
新木場集配センターの拡張リニューアルセレモニーでテープカットに臨む西原社長ら関係者
導入したオートコンベヤー
西原氏は「(前社長、現アジア太平洋地域・北アジア地区プレジデントの)ダリル・テイ氏が3年半にわたりUPSジャパンの社長を務め、関西と中国・深圳をつなぐフライトを新設したり、陸上のットワークの拡張を続けたりしてきた結果、お客様にとってスピードが速く、安心感を持って荷物を預けていただける立場になってきている。そのバトンを受け継ぎ、さらに推し進めることで、お客様が荷物をどこに預けようかと考えた際に、UPSがファーストチョイスであるという状況を今後も続けていきたい」と抱負を述べた。
また、UPS入りする前にプラント制御・計装システム大手の米エマソンの日本法人、日本エマソンに在籍していたことに言及。「メーカーで貨物をお願いする立場にあった。2年前、新型コロナウイルスの感染拡大が始まったばかりのころ、どこにウイルスがあるか分からない、貨物に付いているかもしれないという心配がある中で、経済の血液ともいえる物流業界がどれだけ社会を支えているのかということを感じた。UPSに参加して、社員の頑張りとそれを支えて下さっているお客様や関係者の皆様に頭が下がる思いを感じている」と物流業務の意義を強調した。
コロナ禍に関しては「完全に追い風だと思っている。昨年も日本を含めた全世界で売り上げが伸びている。旅行が出来ない代わりに物を買い、国際物流で送ることが非常に増えている。小売の中でもECと中小事業者が海外に物を出したいというニーズが非常に強いが、税関を含めどうしていいか分からないお客様は多い。そこにUPSのような会社が提供できる価値がある。このトレンドは今後も続く」と自信をのぞかせた。
(川本真希、藤原秀行)