「2024年問題」、何らかの影響想定する企業が6割に

「2024年問題」、何らかの影響想定する企業が6割に

パーソルHD実態調査、「業界全体での対応が急務」と警鐘

総合人材サービスのパーソルホールディングスは6月29日、トラックドライバーの長時間労働規制が強化される「2024年問題」に関する企業の実態調査結果を公表した。

調査は2024年問題の直接的な影響を受ける運輸業・郵便業に加え、間接的に影響が及ぶとみられる卸売業・小売業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業などの経営者・管理職を対象に実施。2024年問題について「自社も取引先も影響を受ける」と答えた割合が50%に到達するなど、何らかの影響があるとみている向きが多いことが浮かび上がった。

 
 

具体的な課題としては「人材不足」が最も多く、卸売・小売業では「サービス・商品の値上げ」も上位にランクインした。

2024年問題の認知・理解度合いを業種別に見ると、運輸業・郵便業は「認知・計」が59.8%、そのうち「知っていて、十分に内容を理解できている」人は19.6%と他業種よりかなり高く、問題認識が高いことが浮き彫りとなった。しかし、その他の業種は認知率が50%以下にとどまり、理解が必ずしも広まっていないことをうかがわせた。

調査は今年4月、インターネットを通じて実施、1000人が回答した。

卸売業・小売業は「サービス・商品の値上げ」が課題に

事業への影響は「自社も取引先も影響を受ける」と答えた人が全体の50.0%で、「自社のみ影響を受ける」「取引先のみ影響を受ける」を加えると60.2%が何らかの影響があるとの見方を示した。企業規模別では大きくなるほど「影響あり」と捉える割合が高かった。

今後発生すると考えられる課題を業種別にまとめると、運輸業・郵便業がいずれの課題についても課題と受け止めている割合が高く、とりわけ「人材不足」は最多の48.6%となった。他の業種は「人材不足」と「対応のためのコスト増」が共通して上位を占めた。卸売業・小売業では「サービス・商品の値上げ」が2位となっており、今後商品価格への影響などが懸念される結果となった。

2024年問題に対して現在取り組んでいることは「働き方改革の推進」(32.6%)がトップ。企業規模別に見ると、いずれの選択肢も企業規模が大きいほど取り組んでいる割合が高く、「デジタル化・業務見直しなどによる生産性の向上」「物流過程の見直し」などは差が顕著だった。

 
 

今後取り組む予定のものは「人員の確保・育成」が10.5%で首位だった。

パーソル総合研究所の小林祐児上席主任研究員は、特に中小企業で対策や課題の認識が遅れていることが分かったと指摘。「法対応を急ぐ企業では、労働時間の『上限規制』や『管理の厳格化』が進められる傾向が見て取れるが、デジタル活用や労働条件改善、宅配/配送方法の見直しなどの抜本的な対策がなされなければ、時間外労働の上限規制はサービス残業化や名ばかり管理職など、多くの『抜け道』を生むことにもつながりかねない。この問題は、サプライチェーンの停滞やコスト上昇などを通じ、多くの産業に影響を与えるものであり、業界全体を上げた対策が急務」と警告している。 

(藤原秀行)


https://go.persol-group.co.jp/wp22_phd_dl.html?utm_source=release&utm_medium=pr&utm_content=wp22&utm_campaign=2206pr
※本調査を引用いただく際は、出所として「パーソルホールディングス」と明記してください。
時間外労働の上限規制はサービス残業化など、多くの「抜け道」を生むことにも。業界全体での対応が急務

■調査概要

調査エリア 全国47都道府県
調査対象者 ・25~69歳男女
・会社員(一般社員、管理職、経営者・役員)
・製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、運輸業、郵便業、卸売業、小売業の企業に勤務する人・勤務先または経営する企業の従業員規模が30人以上の人
企業区分 勤め先(または経営企業)の従業員人数
30~499名:中小企業 / 500~4999名:大手・中堅企業 / 5000名以上:超大手企業
サンプル数・割付 n=1,000(中小企業/大手・中堅企業/超大手企業)
調査期間 2022年4月8日(金)~2022年4月11日(月)
調査手法 調査会社によるインターネット定量調査

(藤原秀行)

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