ラコルテCEOらが会見、港湾のコンテナ積み下ろし監視への活用などを想定
車の自動運転など向けの高性能センターLiDAR(ライダー)開発を手掛ける米スタートアップAEye(エーアイ)のプレア・ラコルテCEO(最高経営責任者)ら幹部は2022年12月5日、東京都内で記者会見し、今後の事業戦略などを説明した。
ラコルテCEOらは、日本市場を重視している姿勢を繰り返し強調。2021年に日本法人を設立したことに言及し、自動運転以外に、物流などの産業領域でもLiDARの技術を生かせるとの見解を表明。その一例として、港湾のコンテナ積み込み・積み下ろし作業の安全管理などへの導入を働き掛けていくことに強い意欲を示した。
会見するラコルテCEO
AEyeは2013年、航空宇宙産業に携わっていた技術者らが参加して設立。戦闘機の照準システムの原理を生かし、AIも活用した高精度のLiDARを開発。車両の各方向に位置する障害物などをより正確にセンシングできるシステム「4Sight」実用化しており、ドイツの自動車部品大手コンチネンタル(Continental)と連携し、4Sightの技術をコンチネンタルのLiDARに搭載することが決まるなど、自動車業界から注目を集めている。
会見でラコルテCEOは「各メーカーは急速にEV(電気自動車)へシフトしており、車自体が1つの(自動運転など多彩な先進技術を集約した)デジタルプラットフォーム化している。センシング技術は自動運転の基本となる」と指摘。
同席したAEye創設者のルイス・デュソンCTO(最高技術責任者)は4Sightについて「1km先にある物体も検知することができる」と性能をアピール。周辺の障害物などの状況に応じて最適な機能を発揮できるよう自動でレーダーの出力などを調整する「アダプティブ」な点が強みと解説した。
会見するデュソンCTO
共同創設者のジョーダン・グリーン・GMオートモーティブは、AEyeのLiDARは高出力で遠くまでレーザーで検知することが可能なため運転席が高いトラックにも向いていると説明。「高速道路の自動運転や物流ハブ拠点間の自律型トラック輸送といった新たなアプリケーションを提供できる」と展望した。
ブレント・ブランチャードGMインダストリアルは、カメラより太陽光の影響を受けにくいことなどを生かし、クレーンにLiDARを取り付けることでコンテナの積み下ろし作業中に異常があった場合、すぐに察知できるようにすることが可能になると説明。「既にアジアで導入事例があり、港湾の安全性を高められる」と紹介した。
(藤原秀行)