エアロディベロップジャパン、クラッチメーカーのエフ・シー・シーと重量物・⻑距離輸送ドローン⽤40kWハイブリッド動力システム開発加速

エアロディベロップジャパン、クラッチメーカーのエフ・シー・シーと重量物・⻑距離輸送ドローン⽤40kWハイブリッド動力システム開発加速

出資受け入れ、海外展開も

ドローン向けの動力システム開発を手掛けるエアロディベロップジャパン(ADJ、東京都小金井市)は2月1日、大手クラッチメーカーのエフ・シー・シー(FCC)からシリーズA+(事業拡大期)ラウンドの資⾦調達を実施したと発表した。

両社は併せて、ガスタービンと発電機を組み合わせたハイブリッド動力システム量産機開発などの「モノづくり」、ドローンを使いたい時だけ利用する「Drone as a Service(DaaS)」事業開発などの「サービスづくり」の両面で協業を開始した。

今後ADJは多くの海外拠点を有するFCCとともにハイブリッド動力システムの海外展開を進める構え。また、ADJが強みを持つロケットエンジン関連技術と、FCCの高速回転体設計技術、セラミックス技術などを組み合わせ、環境負荷の低い航空燃料SAF(Sustainable Aviation Fuel)や液体水素燃焼タービンの開発でもタッグを組む予定。

ADJは2023年内に40kWハイブリッド動力システム搭載大型ドローンの販売開始と、さらに大きな出力サイズのガスタービン発電機の開発着手をそれぞれ計画している。

2021年7月に実施したシリーズAラウンド以降、ADJは30kWハイブリッド動力システムの製品化を推進。22年6月上旬には出力試験をクリアし、22年度福島県震災復興促進事業向け「30kWハイブリッド動力システム」を正式受注した。

開発難易度が高いと言われているECU(Engine Control Unit、エンジン制御用コンピューター)の開発にも成功し、近々商用大型ドローンとして納品を予定。既に23年度福島県震災復興促進事業で予定されている「80kW(=40kW×2基)ハイブリッド動力システム」設計にも着手済み。

30kWハイブリッド動力システムは、2022年6月の国際展示会「Japan Drone 2022」で一般向けに初公開。小型クラス(数十kgレベル)としては重量当たり発電量が世界トップクラスなことや、「タービン・コンプレッサー・内蔵型発電機」三位一体設計で500kW級までのスケールアップが容易なこと、ロケットエンジン由来の技術を活用し液体水素・バイオ燃料といったゼロエミッション対応が可能なことという3つの世界的な先進性が国内外から大きな注目を集めた。

台湾ドローン連盟(UAS TAIWAN)代表団、国内自治体(北九州市、長崎県、大分県、岡山県、広島県神石高原町、長野県伊那市、福島県)、政府関係者が視察。特に航空自衛隊関係者からは、ロシアのウクライナ侵攻で必要性が明らかとなった「空飛ぶ(空輸型)超軽量高出力発電機」として大きな期待を寄せられたという。

また、人手不足が深刻化している電線鉄塔メンテナンス事業者からは、ペイロード100kgのヘリ代替可能な100kW級ハイブリッド動力システム搭載大型ドローンの早期ローンチ要望を受けている。

ハイブリッド動力システムのニーズがますます高まる中、かねてより新規事業分野を研究中だったFCCから、次の40kWハイブリッド動力システムの早期製品化に向け出資を受けた。「エンジンを活用してマルチコプターを電動制御するには超軽量高出力かつサスティナブル燃料に対応可能なガスタービンハイブリッド動力システムが最適である」とのADJの開発コンセプトにFCCの賛同を得られたという。

FCCとは「ハイブリッド動力システム開発」「大型ドローンのMRO(購買・調達する資材)を含めたDaaS事業開発」「同社海外拠点を活用したグローバル展開」「SAF・液体水素燃料タービン開発」の4分野で協業の成果を挙げたい考え。

(藤原秀行)

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