東京・板橋の共同開発案件「国内最大級の街づくり型物流施設に」

東京・板橋の共同開発案件「国内最大級の街づくり型物流施設に」

三井不動産・三木氏と日鉄興和不動産・吉澤氏が共同会見で地域重視を強調

三井不動産と日鉄興和不動産は1月26日、東京都板橋区舟渡で共同開発を計画している物流施設「MFLP・LOGIFRONT東京板橋」の建設予定地で記者会見した。

三井不動産の三木孝行取締役専務執行役員(ロジスティクス本部長)と日鉄興和不動産の吉澤恵一副社長(企業不動産開発本部長)が出席した。両氏は今回の開発案件について、災害対応などの機能を持たせ、地域貢献を重視する「街づくり型物流施設」の理念を掲げていると説明。

敷地内にドローン物流の研究や実証実験が可能なエリアを整備、スタートアップなどが災害時の救援物資輸送や宅配といった領域へ活用していくことを後押しできるようにし、新たな産業の発展にも貢献していきたいと意気込みを示した。


会見に臨んだ(左から)三井不動産・三木氏と日鉄興和不動産・吉澤氏

今後の共同開発に意欲

三木氏は「新たな施設を一言で表すと、唯一無二の、国内最大級の街づくり型物流施設だと思っている」と解説。既に同じく街づくり型物流施設を標ぼうして開発を完了した千葉県船橋市の案件で培った経験を生かし、地域と調和する洗練された建物外部のデザイン採用、水害時の地域住民向け緊急一時退避場所の確保、地域住民に開放した高台広場や河川沿いの緑道の整備などを進めると強調した。

また、「おそらく日本でワンフロアが最も広い物流施設になる。日鉄興和不動産さんと組み、業界トップレベルの、未来に向かうようなスペックとする」と述べ、冷凍・冷蔵設備対応や汎用性の高い倉庫空間の実現などを図る姿勢をアピールした。

吉澤氏は「物流施設としてはかなりデザインや景観に配慮したシンボリックなものを造っていきたい。新しい形で地域に貢献できる施設を造っていきたい」と決意を表明。親会社の日本製鉄が85年間操業してきた旧工場跡地を開発することを踏まえ、街づくり型物流施設で地域貢献を継続していくことをPRした。

併せて、「内陸部でこの規模のものは皆無であり、非常に希少性が高い」と存在意義を強調。都心部へのアクセスに優れている立地なども生かしていきたいとの考えを示した。

今後物流施設を共同開発する可能性については、吉澤氏が「現在はまだ明確に決まっているものはないが、もし機会があればやりたい」と明言。三木氏も「希望としては、物流に限らず広く、同じデベロッパーとして共同事業の可能性があれば前向きにやりたい」と応じ、そろって前向きなスタンスをのぞかせた。

物流施設開発は相次ぐ新規参入による用地確保の競争激化などで市場環境が厳しくなっていることへの対応について問われたのに対し、三木氏は「(三井不動産として事業を)当初始めた時に比べると競争が激化しているのは事実。(用地取得で価格が上がりやすい入札案件を避けるなど)あまり競争の中に入っていかないようにするとともに、テナント候補と情報交換を密に取り、ニーズをしっかりと押さえて場所を選定していく」と言明。

吉澤氏は「用地を取得するところは厳しい環境にある。日鉄の関係(の案件)は地域や土地に関して熟知しており、しっかりと自ら(事業を)進めていく」と語った。

会見に同席した地元・板橋区の坂本健区長は「地域の課題を解決するとともに、地域の皆様に愛される場になることを期待している」と述べた。

施設への入居を決めているヤマト運輸の阿部珠樹常務執行役員(東京地域統括兼EC事業統括)兼輸配送ネットワークマネジメント部長は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う食品のEC市場の伸びなどに対応するため、クール便の運用拠点などとして展開していく構想を明らかにした。


開発予定地で記者会見した後、撮影に応じる(左から)三井不動産・三木氏、板橋区・坂本区長、ヤマト運輸・阿部氏、日鉄興和不動産・吉澤氏

(藤原秀行)

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