ESR・ギブソンCEO、電力の自給自足可能な「オフグリッド倉庫」構想を披露

ESR・ギブソンCEO、電力の自給自足可能な「オフグリッド倉庫」構想を披露

将来は「バイオ医薬品の物流パーク」も視野

ESRのスチュアート・ギブソンCEO(最高経営責任者)は2月21日、横浜市で竣工した物流施設「ESR横浜幸浦ディストリビューションセンター(DC)2」をメディアに公開したのに合わせて、現地で記者会見した。

ギブソンCEOは、「横浜幸浦DC2」の隣接地で、幸浦エリアで物流施設4棟を開発するプロジェクトの3棟目の工事を今年10月に始める予定と明らかにした上で、先進的な技術を取り入れていく考えを示した。同時に、アメニティ設備の拡充にも注力する姿勢を強調した。

また、今後の物流施設開発に関連し、個人的な考えと前置きした上で、脱炭素の潮流が社会全体で強まっている状況を踏まえ、蓄電池設備などを活用することで電力の自給自足が可能な「オフグリッド倉庫」を実現していきたいとの構想を披露した。


会見するギブソンCEO

太陽光で生み出した電力の余剰分、データセンターに供給の可能性

ギブソンCEOは、幸浦エリアの物流施設開発について、R&D(研究開発)施設を整備する可能性に言及。「将来的にはバイオ医薬品の(領域を対象とする)物流パークとして開発していきたいとも考えている」と語り、エリア内に多様な機能を備えた開発プロジェクトにしていくことに強い意欲をのぞかせた。

物流施設開発の競争が激化していることへの考えを問われたのに対しては「われわれも日本で20年以上事業をやっているし、場所を選定する能力には長けていると認識している」と自信を見せた。

トラックドライバーの長時間労働規制が強化される「2024年問題」については「これからは都市に近い場所で細かく区画分けできるような物流倉庫の開発へ向かっていくと思う」との見方を表明した。

エリアで開発する4棟の物流施設にはいずれも屋根に太陽光発電設備を導入し、トータルで20MW規模の出力を見込んでいると解説。生み出した電力のうち、テナント企業が使う以外の余剰分は自社で開発したデータセンターなど向けに供給していくことを考えていると語った。

環境対応に関しては「個人的な考えだが、より完全なカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)にするため、倉庫はオフグリッドを目指していきたい。バッテリーを取り入れて5年以内に倉庫それぞれを完全にオフグリッドにしたい」と意気込みを見せた。

会見に同席したESRの武田諭シニアディレクター・コンストラクションヘッドは、「横浜幸浦DC2」建設地にあった三菱重工業の旧工場で稼働していたガントリークレーンを敷地内で引き続き保存・改修した狙いについて「40年前に(この場所で)火力発電用のタービン、エンジン、環境設備などを作っていた。そこで使っていたガントリークレーンを国力の象徴だと考え、地域の人々とつながりを持つという意味でも大切にしたいと思いで残すことにした」と説明した。


会見に臨んだ武田氏

(川本真希、藤原秀行)

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