鳥取でドローン活用の買物代行・災害輸送・フード配送実証実験へ、地元のアクシスなど参加

鳥取でドローン活用の買物代行・災害輸送・フード配送実証実験へ、地元のアクシスなど参加

セイノーとエアロネクストのグループ企業なども、中山間地で物流維持図る

情報システム開発や企業のDXコンサルティングなどを手掛けるアクシス(鳥取市)は3月10日、ドローンを活用した買い物代行や災害輸送、食事配送の実証実験に参加すると発表した。実験は3月20日の予定。

実証実験は鳥取県の八頭町とシーセブンハヤブサ、鳥取銀行が推進する「八頭未来の田舎(まち)プロジェクト」(2021年10月25日連携協定締結)がテクノロジー×コミュニティによる地域課題解決に向けた実証実験の第2弾として、セイノーホールディングス(HD)グループで宅配サービスを通じて買い物弱者の解決を目指すココネット、物流特化型ドローンの社会実装に取り組むエアロネクスト子会社のNEXT DELIVERYと共同で実施する。

人口最少県の鳥取県では、過疎化と同時に小売店の閉店やスーパーの全面撤退などにより、買い物難民の問題が深刻化。降雪の多い山間部では集落の孤立も発生し、限られた手段・アクセスとなる中山間地域特有の問題が起きている。

政府が昨年12月、ドローンが有人地帯上空を目視外飛行する「レベル4」飛行を解禁したのに伴い、日用品や医薬品などの物流網維持や災害時の物資輸送などでドローン活用が期待されており、八頭町のプロジェクトでも導入できるかどうかを検討する。

アクシスは地域の課題解決を目指し、地域の小売店や飲食店と組んで生活用品・食品・処方薬などを同一の物流網で、自社雇用の配送員が配送する地域密着型のプラットフォーム 「Bird(バード)」を2021年に開始。ITとリアルを融合したサービスによる地元企業との連携を通じて、地域経済の循環を目指している。

ココネットは、各地で実施されるスマート物流の実証実験を全国規模で展開する宅配サービスのネットワークで後押し。今回の実証実験は、そのノウハウをアクシスと共有することで、「Bird」のITと配送を使った中山間地域のスマート物流の実証実験を支援する。

鳥取県南東部の中山間地域に位置する八頭町は、2005年に3町が合併し誕生。合併当時は2万人程の人口が、現在は約1.6万人(高齢化率は36%) になり人口減少に伴う様々な課題を抱えているのが実態。2017年には、持続可能な未来の田舎づくりの拠点とするべく、閉校になった小学校の建物を活用したコミュニティ複合施設「隼Lab.」を開業するなど先進的な取り組みを進めている。

今回の実証実験は、中山間地域のラストワンマイルへの輸送手段に、セイノーHDとNEXT DELIVERYが開発・推進する陸上輸送とドローン配送を連結する新スマート物流「SkyHub(スカイハブ)」のシステムを導入。「Bird」と連携し、地元スーパーや飲食店と連携すると同時に、地域に根差した物流・デリバリー機能を展開する。

全国各地で新スマート物流「SkyHub」が実施してきた実証実験の中でも、実施エリアの店舗とシステム連携している地域企業と、陸送・SkyHubのネット注文アプリの部分で連携・共同配送するのは初めてという。

当日は、①局地災害を想定した支援物資輸送②フードデリバリーとの共同配送③買い物代行④道の駅との拠点間相互輸送――の4つの実証実験を予定している

③は商品を注文すると配送員が店舗で品物を受け取り、物流拠点・ドローン離陸場所の隼Lab.まで陸送。物流・システム面全体での運用オペレーションの効果検証を行い、実装に向けた課題整理などを行う計画。

実施概要
◆名称:「過疎地域等における無人航空機を活用した物流実用化事業」及び超地域密着型生活プラットフォーム「Bird」により配送とネット注文を担う実証実験

◆日程:
リハーサル:3月19日(日)
本番:3月20日(月) ※天候不順の場合は予備日に実施
予備日:3月21日(祝・火)

◆時 間:10:00~15:30

◆配送拠点:隼Lab.(鳥取県八頭郡八頭町見槻中154-2)

◆実験内容:

①局地災害を想定した支援物資の輸送
配送拠点より支援物資をドローンを活用して配送

②フードデリバリーと共同配送 (物流問題・混載)
フードデリバリーサービス「トリメシ」を活用し、コミュニティ複合施設の隼Lab.内の「カフェサン」のメニューをドローン配送

③買い物代行 (買い物難民問題)
ネットモール「トリスト」を活用し、
サンマート東郡家店の商品をBirdの配送員が受取り配送拠点へ運び、ドローン配送

④拠点間相互輸送 (地域間交流)
カフェサンの商材を「八東運動公園前広場」へドローン配送。さらに「八東運動公園前広場」から隼Lab.へ商材をドローンに搭載し配送

八頭町としては、地域のスーパー・飲食店や物流機能が連携する「Bird」が参画することによって、今回の取り組みが実証実験に特化した一時的な取組みではなく、より実用的で継続可能なサービスとなることを期待。

アクシスとしても、自治体との連携で中山間地域・過疎地域における配送サービスの継続を図るとともに、将来は地域経済の発展や見守り機能を兼ねたサービスとなることを目指すなど、地域の交流促進・コミュニティ活性化といったラストワンマイルへの物理的な配送を越えた価値提供を進める構え。

(藤原秀行)※いずれもアクシス提供

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