災害支援や物産販売なども想定、荷台を空にせず有効活用
埼玉県神川町とセイノーホールディングス(HD)、エアロネクストと同社子会社のNEXT DELIVERYは3月16日、地域課題の解決に貢献する新スマート物流の構築に向けたドローン配送の実証実験を同町で3月15日に実施したと発表した。
神川町とセイノーHD、エアロネクストの3者は同日、ドローンなどを活用した地域課題解決のための包括連携協定を締結した。
セイノーHD とエアロネクストが開発を進めている、ドローン配送と陸上輸送を融合して地域の物流ネットワーク維持を図る新スマート物流「SkyHub(スカイハブ)」の実現を目指す。実際のオペレーションはNEXT DELIVERYが担当した。
物資や商業施設が集積する市街地と過疎化が進行している旧神泉村地区への「市街地・過疎地連結型ドローン物流」を想定し、今年度は神川町内で定期飛行に向けた課題の洗い出しを目的として、仮設の「ドローンデポ」(荷物配送拠点)と「ドローンスタンド」(荷物受け取り地点)を設置、実証実験に踏み切った。
多目的交流施設と城峯公園を往復で結び、ドローン配送を行うとともに災害支援の視点や、フードデリバリー、物産販売の視点を組み合わせ、常に荷台が空にならないよう努めた。
関東西濃運輸本庄支店に集まった救援物資(粉ミルク、幼児用お菓子、ジュース、スポーツドリンク、体拭きシートなど)と、おふろ café 白寿の湯で陸上養殖された鯖を調理したお弁当と豚汁が軽車両で多目的交流施設まで届けられ、同施設の敷地内で救援物資とお弁当、豚汁をドローンに搭載した。
その後、物流専用ドローン「AirTruck(エアトラック)」で城峯公園までの片道約5kmの距離を約11分で配送し、災害時を想定した救援物資が地元の住民に、お弁当と豚汁がサイクリストにそれぞれ手渡された。
城峯公園では、サイクリストが直売所で購入した地元産の野菜やマヨネーズなどをドローンに積み込み、多目的交流施設に向けて復路飛行した。その際、撮影用ドローンで危険箇所を確認する想定で多目的交流施設のモニターを使い、ドローンに搭載されたカメラからの飛行中のライブ映像を確認した。
多目的交流施設にドローンで届けられた荷物は、さらに軽車両に積み込まれ、関東西濃運輸本庄支店より発送された。
実証実験における各社の役割
神川町:水素・再生可能エネルギー・ゼロエミ物流等の脱炭素化の取組み、実証実験の場やリソ
ースの提供、社会実装へ向けた支援
セイノーHD:持続可能な物流網の構築、ラストワンマイルの課題解決、新スマート物流“SkyHub®”の
社会実装
エアロネクスト:高性能なドローンを実現する技術、物流専用ドローン機体準備、新スマート物流
“SkyHub®”の社会実装
NEXT DELIVERY:ドローン配送サービスの実用化、ドローン運航オペレーション
包括連携協定の内容(23年3月15日締結)
ドローンを含む次世代高度技術の活用により、以下の事項において連携・協定する。
(1)観光・産業・経済の振興に関する事項
(2)持続可能な地域交通や地域の事業者と連携した物流課題の解決による住みやすい環境づくりに関
する事項
(3)医療・服薬指導・福祉の充実及び継続に関する事項
(4)地域防災や地域の脱炭素化への貢献及び新しい社会インフラの整備に関する事項
(5)地域雇用、人材育成および産業基盤整備に関する事項
(藤原秀行)※写真はエアロネクスト提供